地方創生交付金、最低でも3兆円以上 ハード対策含め要望(全国知事会)
[2020/5/22 千葉版]
全国知事会(会長・飯泉嘉門徳島県知事)が20日に開かれ、新型コロナウイルス感染症に対し、国の緊急経済対策に盛り込まれた地方創生臨時交付金について緊急提言を行った。ハード対策を含む同交付金では1兆円がすでに措置されているものの、都道府県の判断で年度間流用や基金創設ができる自由度の高い制度にするよう求めるとともに、規模についても「飛躍的増額」が必要だとし、第2次補正予算の編成に当たり強く要望していくとしている。
提言では「飛躍的増額」について、リーマン・ショック当時の経済対策がハード整備を対象に総額3・5兆円が投じられたことを引き合いに、これを下回ることがあってはならないとした上で、今回の事態で、東京一極集中のリスク回避が重要だと再認識したとし、「国土強靭化計画」に盛り込んだ、ニーズの高いインフラ整備の前倒しなど国の支援が「感染症拡大で疲弊した地域経済の活性化に役立つ」とした。
このため、少なくとも2兆円を上積みし、総額3兆円以上となるよう交付金の追加措置を求めるとともに、各地方自治体の配分に関して早急に考え方を示してほしいともした。
緊急提言でハード対策として挙げられた事業は次の通り(抜粋)。
【医療・福祉関連】
▽検査体制の拡充・強化のための衛生施設の改修、検査機器などの購入支援
▽帰国者・接触者外来での簡易陰圧装置などの整備支援
▽周産期母子医療センターの施設・設備の整備助成
▽輸出制限による供給不足に備える国内での防護服やマスクなど衣料資材の生産設備を導入する経費の支援
▽社会福祉施設における施設改修や備品購入に伴う経費支援
▽集中治療室(ICU)などへの前室付きの陰圧室の整備支援
【社会経済活動の復興・再活性化】
▽学校における夏休み短縮や期間中の授業の実施に向けた体育館、給食室、工業化の実習室などへのエアコン・スポットクーラーなど空調設備の整備
▽空き工場を活用しての生産ライン再稼働を目指す企業への工場新設に要する経費支援
▽施設への換気設備導入やテレワーク設備導入、アクリル板設置などの感染防止設備に伴う経費支援
▽飲食店他宿泊施設などの衛生設備の整備に伴う経費の支援
▽夏休みに利用する体験施設での3密を回避するための更衣室や食堂の施設改修などに対する支援
▽感染収束後に需要拡大が見込まれる加工・業務用野菜などの安定供給体制に必要な農産物加工処理などの施設整備支援
▽地方の安全・安心な暮らしの実現と経済の回復を加速させるための国土強靭化に対する社会基盤整備の前倒しでの実施
【ICT関連】
▽デジタル・トランスフォーメーションの実現に必要な光ファイバー網の整備や5G基地局整備の前倒し、ローカル5Gの導入支援
▽公共の所有施設の空き部屋を利用した、施設利用型テレワークを実施するためのサテライトオフィスの整備
▽工事、委託業務の立会いや協議を遠隔で実施できるリモート環境の整備やその支援