今後の不安色濃く  新型コロナ関連で会員にアンケート(県建設業協会)

[2020/5/16 千葉版]
 県建設業協会(畔蒜毅会長)は15日、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に関して、会員を対象に実施したアンケート調査の結果概要を明らかにした。先月21~23日に実施したもので、会員のうち500社を対象としたところ、35・2%に当たる176社から回答が得られたという。同協会では不安を抱えている会員が多いことが判明したことから、調査結果を踏まえて、影響を受けている会員企業を支援していくとしている。

「テレワーク中に気になる」苦情も

 今回のアンケートは、新型コロナウイルス感染症の拡大が、建設業のみならず、各業界の企業活動に影響を及ぼしていることから実施したもの。独自に建設業界に対する影響と、その感染の拡大防止策などについて調査した。

 公共工事の「土木」、「建築」、また、民間工事の3つに分けて、新型コロナウイルスの影響があったかという問いに「あまりない」と回答した企業は、公共(土木)と公共(建築)、民間工事がともに最も多く、土木の場合は回答企業の72・2%、建築が31・8%、民間が48・9%といずれもトップで、地域建設業のウイルスに対する直接の影響が比較的少なかったことが分かった。

 一方で、ウイルス対策として、感染しないために実施している対策についての問いでは、回答企業の94・9%に当たる企業が「マスクの着用など咳エチケット」に取り組んでいることを挙げて最多に。続けてアルコールなどによる消毒(83・0%)、いわゆる「3密」の回避(77・8%)が挙がっており、建設現場では達成の難しい「テレワークの実施」も、16・5%の会員が回答するなどしている。

 このほか車通勤への切り替えや全従業員に対する毎朝の体温チェック、会社受付へのビニールシートの設置などを挙げた会員もあった。

 「今、不安なこと」の問いについては、終息時期・緊急事態宣言や外出自粛の期間、休業補償、感染者が出たときの対応、工事発注への影響を挙げる会員もいた。

 工事への影響が「多少でもあった」という企業による回答で、どのような影響が出ているかとの質問では「受注工事の完成が遅れた」とした回答が目立ち、その理由として「資機材の調達が遅れた」とした企業が多く、現場由来以外の要因が影を落としていることが色濃くうかがえる。

 このうち民間工事では、発注者から工事の継続や中止などについて何か対応があったかという問いもあり「なかった」が27・3%と最多であった一方、「あった」とする企業が23・3%、「今はないが今後あると思う」が22・7%でほぼ拮抗しており、一様でない対応が透けて見える。

 工事の継続に当たって、周辺の住民からの反応についても項目があり「特になかった」とする回答が最も多かったものの「マスクをつけないで作業している」との指摘に加え「テレワーク中(平日昼間)なので騒音・振動が気になって困る」や「自分が働けないのだから働くな」と多種多様な意見も受けたという。

 「今後の影響」についてはまた、工事の一時中止や延期が増えることを懸念する会員が61・9%いたほか、自粛要請があること、公共事業予算が減ることなどを不安要素として挙げた。このほか緊急事態宣言の解除後について、国や県が公共事業を継続する方針を示しているものの「自粛要請が出たら工事を打ち切る」とした会員が55・7%を占めるなどしている。

 同協会では、今回の調査結果により、各会員企業の多くがマスクの着用やアルコールなどによる消毒、3密の回避など感染拡大防止対策を徹底しているほか、テレワークや時差出勤などにも取り組んでいることが分かたとするとともに、現時点で土木工事においては影響が大きくないものの、建築工事においては、トイレやユニットバスなどの資材が届かず、工期が伸びるなどの影響が出ていることも顕著になったと分析している。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.