漂流物対策の施設新設 仙台空港/検討業務をプロポ(塩釜港湾空港)
[2020/5/12 宮城版]
国土交通省塩釜港湾・空港整備事務所は、仙台空港に津波漂流物の防護施設を新設するため、整備効果検討業務を簡易公募型プロポーザルで委託する。11日付でプロポの手続きを公告しており、21日まで参加表明書、6月10日まで技術提案書を受け付ける。この業務で具体的な施設のあり方や配置計画などをまとめる。
仙台空港は、東日本大震災の津波で空港全体が浸水。旅客ターミナルは海岸線から約1.2kmに位置していたが、浸水高は旅客エプロン付近で約2mに及んだ。敷地内には周辺のレンタカーショップなどから車が多く流れ込んだほか、家屋の家財や防風林の樹木などが押し寄せた。
空港の復旧・復興に当たっては、仙台空港復旧・復興のあり方検討委員会(委員長・奥村誠東北大学教授)を開き、有識者らと対策を協議した。2012年3月1日開催の第3回会合では、委員会からB滑走路と誘導路のかさ上げや、航空機退避エプロンの整備などとともに、津波漂流物対策施設の必要性が提案された。
当時の提案では、空港の制限区域内に駐車車両やガレキなどが流入しないようにするため、延長3kmにわたって杭タイプの鉄柱やガードケーブルタイプの柵を設けることとしていた。鉄柱や柵の高さは1~5mで、設置場所は優先範囲を第1と第2に分類した。
その後、空港の内外で復旧・復興事業が進み、周辺の状況が変化したため、改めて津波漂流物対策施設のあり方を検討する。今回委託する業務では、どの方向からどれくらいの漂流物が押し寄せ、どのような施設があれば効果的にそれらを防げるかを考える。
現時点では防御施設として、鉄柱や柵のほか、壁、フェンス、ネットなどを想定している。仙台港には津波バリアとしてポールとポールの間にワイヤーが設けられた実績があるため、それらも参考にしながら、コスト面でも優れた施設を選択する。
効果検討業務の業務内容は、資料の収集整理、現地調査、構造検討、整備効果の検討、結果の整理で、履行期間が2021年2月26日まで。プロポの参加資格は、単体企業か設計JVで、東北地方整備局(港湾空港関係)から建設コンサルタント等業務がA等級の資格認定を受けていることなど。
仙台空港の飛行場面積は238万6255平方m。現状では人や車の侵入対策として保安上の防周柵が設けられているに過ぎない。