小山市 豊穂川25年度まで53億円 拡幅、築堤、橋梁架替へ
[2020/4/15 栃木版]
小山市は一級河川豊穂川において、浸水対策重点地域緊急事業を実施する。計画期間は、2020~25年度までの6年間。市治水対策課によると、河道拡幅や築堤のほか、川を渡河する大日橋・新川橋・大行寺橋の架替えを計画。雨水ポンプ場や調整池の整備も行うとしている。20年度は整備に向けての測量設計などに着手。今後は国や県との調整、用地買収や補償等の地権者との調整や事業協力に合わせて、各種整備工事を進めるとしている。20年度当初予算では、排水強化対策事業に2億5500万円を計上。浸水対策重点地域緊急事業の全体事業費は、53億円と試算している。
関連でポンプ場や調整池
市では、15年9月の関東・東北豪雨で被害を受けた豊穂川流域等の排水強化事業を進めている。豊穂川は、19年度に国交省から一級河川に指定。指定された区間は、上流端が立木地内の大日橋、下流端が一級河川思川への合流点(大行寺地内)までの約1260m。当初の予定では、29年度までの工期で河道整備を進めるとしていた。
しかしながら、昨年10月に発生した東日本台風において、再び浸水被害が発生。市は、集中的に交付金の支援が受けられる、国交省の浸水対策重点地域緊急事業の採択に向けて国と協議し、このほど市の豊穂川の事業が採択された。事業採択により、完成工期を25年度まで前倒ししている。
市では、豊穂川の排水強化対策事業として、▽河道拡幅▽築堤▽橋梁の架替え-を計画している。豊穂川整備の予備設計および詳細設計は、大日本コンサルタント(東京都豊島区)が担当した。
豊穂川の整備は、一級河川指定区間の約1260mが対象。河道拡幅については、現在の幅員8mから、55mにするとしている(桜堤の3m含む)。築堤については、高さがYP+28.3m。天端幅が5m。市は、単独事業で天端幅を3m腹付けし、計8mにするという。腹付部3mについては、豊穂川上流部でサクラが植栽されており、景観形成を図っていくため、同様にサクラを植栽して桜堤とする。
橋梁の架け替えは、市道257号線が渡河する大日橋(2009年度建設RC橋、L20m、W9.8m)、一般県道小山結城線が渡河する新川橋(L28.5m、W6m)、市道1179号線が渡河する大行寺橋(1961年建設RC橋、L15m、W2.8m)を計画。新たな橋梁の規模や構造等は未定。県管理の新川橋については、架替整備の役割分担などについて、県と調整を進めるという。
豊穂川の浸水・治水対策については、浸水対策重点地域緊急事業の関連事業も進めていくとした。県は思川の土砂撤去などを行うほか、市は河道の適正な維持管理に向けた長寿命化計画の策定、豊穂川への水位計および監視カメラの設置などを実施。地元土地改良区へ協力を仰ぎ、流域の田んぼで田んぼダムの取組みも進めていく。
市はこのほか下水道事業として、雨水ポンプ場や調整池も整備するという。市上下水道施設課によると、大行寺橋の南から思川への合流点(思川緑地)までの2万4100平方mにおいて、雨水ポンプ場や調整池を整備。すでに、2施設整備のための都市計画決定や、用地買収は行ったという。雨水ポンプ場は大行寺橋の南へ、毎秒1.5立方mの能力の施設を整備するとした。調整池は、思川緑地沿いに3万立方mの容量の施設を整備するとしている。浸水対策重点地域緊急事業の進ちょく状況に合わせ、25年度までに整備するとしている。