吉田川に洪水調節施設 検討業務のプロポ公告(北上川下流)
[2020/4/15 宮城版]
国土交通省北上川下流河川事務所は、近年において顕著化している洪水被害に対応するため、鳴瀬川水系吉田川上流部で洪水調節施設の設置を検討する。14日付で検討業務の簡易公募型プロポーザルを公告しており、5月14日まで参加表明書と技術提案書を受け付け、審査を経て受託候補者を特定する。
洪水被害は雨の降り方の変化に伴って顕著化している。昨年10月の東日本台風では大郷町内で吉田川の直轄堤防が決壊するなどの被害を受けた。これを踏まえ、東北地方整備局や県らは吉田川の「新たな水害に強いまちづくりプロジェクト」を定めた。このプロジェクトの一環で洪水調節施設の整備を検討する。
具体的な洪水調整施設のあり方は今回の業務を踏まえて決めることになるが、現時点ではダムや遊水地などを想定している。場合によっては、大郷町~富谷市の辺りで既存のダムを改良することも考えられる。
検討業務の内容は、計画準備、資料の収集整理、洪水調節施設の検討、報告書の作成。近年の降雨状況などから吉田川流域でどのように雨が降り、どれだけの流量が発生するかを分析し、どのような形で河川に放流するべきかといった事柄を考える。履行期間は2021年1月29日まで。
プロポの参加資格は、東北地方整備局から土木関係建設コンサルタント業務の資格認定を受けている単体企業、または設計JV。技術提案を求める評価テーマは「吉田川上流洪水調節施設検討における留意点」となっている。
なお、同プロジェクトでは、東北地方整備局と県が連携し、おおむね5年をかけて治水対策を進める。同局の総事業費は現時点で約267億円となっており、うち約241億円を河川大規模災害関連事業に充て、2019~24年度の6カ年で河道掘削などを行う。残り残りの約26億円は河川等災害復旧事業に活用し、19~23年度の5カ年で護岸工事などを実施する。
今後、仮に洪水調節施設を新設することになれば、別途新たな事業を加えることになる。