約110億円で鹿島が落札 放射光施設の建屋新築(光科学イノベーションセンター)

[2020/3/26 宮城版]
 光科学イノベーションセンター(高田昌樹理事長)は、次世代放射光施設の基本建屋新築工事について、2月28日に一般競争入札を開札し、総合評価を経て鹿島建設(東北支店・仙台市青葉区)に落札決定した。落札額は約110億円。予定価格は112億円だった。25日付で結果を公表した。参加メンバーなどは非公表。月内に着工する。工期は2023年3月31日まで。今後は別途、外構工事を発注する。
 新築工事の入札では、参加者を単体企業としていたものの、落札者に決定した場合、自らの責任でJVを結成できることになっている。JVの構成員は3者まで認める。
 基本建屋は、S造(一部RC造)地下1階地上2階建て延べ約2万5000平方mの規模。仙台市青葉区荒巻地区の東北大学青葉山新キャンパス内に建てる。敷地面積は約5.4ha。
 建屋内には蓄積リングやビームラインといった主要機器の設置スペースと、事務室、交流スペース、実験準備室などを配置する。当初は研究準備交流棟を別棟で建てる計画だったが、基本建屋に包含することにした。
 基本建屋に設ける特別高圧受変電設備や高圧電気設備、熱源設備の空冷式ヒートポンプチラーとインバータターボ冷凍機、エネルギーサービス設備監視装置といった設備関連工事は、別途「エネルギーサービス事業」として一般競争入札(総合評価)を2月17日に開札しており、事業者の選定に向けた審査を進めている段階だ。
 エネルギーサービス事業では、設備関連の施工と、施工に必要な資金の調達、事業者が運用する設備の監視・定期点検・運転管理等包括サービスを一括して担当する。事業期間は15年間で、21年10月にサービスを開始し、36年9月に事業が終了する予定。あくまでも予定のため、開始・終了年月は選定事業者と協議して定める。
 次世代放射光施設は、基本建屋の内部に1周約350mのリング型加速器を設け、電子を光速に近い速さで加速・回転させ、磁場の力で方向を曲げた際に発生する放射光を利用し、物質を原子レベルで解析する。ナノの世界を見る巨大な顕微鏡といえる。
 基本建屋の基本・実施設計業務は日建設計(東京都千代田区)に委託した。建設地の造成工事は橋本店(仙台市青葉区)が請け負っており、3月末の進捗率が約70%となる見通し。すでに建屋部分の造成は完了済みで、土砂の運搬などが残っている。

次世代放射光施設の基本建屋の完成予想図

次世代放射光施設の基本建屋の完成予想図

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