水道3事業運営 プロポで公募開始 水質管理・改築提案を高評価(宮城県企業局)

[2020/3/14 宮城版]
 上水道、工業用水道、下水道の3事業を官民が連携して運営する「みやぎ型管理運営方式」について、宮城県企業局は3月13日、運営権者の選定に向けた公募型プロポーザルを公告した。資本金50億円以上の企業またはコンソーシアムを対象に、応募書類を5月1日まで受け付ける。宮城県は資格要件や提案内容を審査し、2021年3月下旬に運営権者を特定する考え。運営権者分の提案上限額を20年間で約1653億円と定め、運営権者の選定では水質管理や改築・修繕の提案を高く評価する審査を行う方針だ。
 宮城県企業局は3月13日に開かれた宮城県議会の常任委員会で、みやぎ型管理運営方式に係る募集要項や選定基準を明らかにした。そして、同日から運営権者の募集も開始した。運営権を売却するのは、広域水道2事業と工業用水道3事業、流域下水道4事業の計9事業。
 プロポーザルの参加対象は、単体企業または数社で結成するコンソーシアム。単体企業とコンソーシアムの代表者は、資本金が50億円以上とする。また、構成員を含め、全社が日本法人でなければならない。
 実績の要件として、上水道事業では2010年度以降、処理日量2万5000立方m以上の浄水場施設(急速ろ過方式)で、連続3年以上の運転管理業務を同一施設で元請けしたこと。下水道事業では10年度以降、処理日量10万立方m以上の終末処理場(標準活性汚泥法と同等以上の処理施設)で、連続3年以上の運転管理業務を同一施設で元請けしたことを求める。
 実績要件は、親会社および子会社の実績は認めない。コンソーシアムの場合、これらの実績を有する構成員を含めなければならない。
 応募書類を5月1日まで受け付けた後、宮城県は1次選考として応募者の資格要件のみを審査する。資格さえ満たせば、すべての応募者が「1次通過者」となる。その後、通過者とは6月から12月にかけて競争的対話を行い、21年1月13日までに提案書を提出してもらう。
 宮城県は選定基準の中で、評価の基本的な考え方として「民間による新技術の開発・導入、創意工夫などのイノベーション(技術革新)により、水道3事業の効率的かつ効果的な運営方法を確立する」とし、全国で課題となっている公営事業のモデルケースになると期待できる提案を評価すると記載した。
 そのため、提案内容を審査する2次選考では、大別した▽全体事業方針・実施体制など▽水質・運転管理、保守点検▽改築・修繕など▽セルフモニタリング・危機管理・事業継続措置▽地域貢献▽運営権者提案額──の6項目を200点満点で採点する。特にイノベーションの提案につながる「水質・運転管理、保守点検」は計44点、「改築・修繕など」は計42点と、他の項目より高い配点とした。
 提案額については、宮城県の負担分を含めたみやぎ型管理運営方式の20年間の総事業費を3067億円と試算し、このうち運営権者分の上限額を1653億円と定めた。運営権者が担う分の事業費は、現行より20年間で10.7%の削減が見込まれる(約197億円減)。
 宮城県は提案内容を21年1月から3月にかけて審査し、3月下旬に運営権者を特定する。その後、運営権設定に係る議案や許可申請の承認を得て、22年4月1日からみやぎ型管理運営方式を開始する。
 宮城県があらかじめ民間企業に対して行った調査では、同方式に対して関心表明書を提出した企業が50~60社ある。これらの中から、コンソーシアムが結成されるものと見られる。

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