学校4校を民間活用 20年度早々に提案募集(女川町)
[2020/3/11 宮城版]
女川町は、移転新築する女川小学校と女川中学校、すでに閉校した旧女川第一小学校と旧女川第三小学校の4校について、校舎などの既存施設を民間事業者に有効活用してもらう考えだ。2020年度のできるだけ早い段階で民間事業者からの提案を募集する予定。女川小の校舎などは調査で劣化が判明しているため、継続利用に当たっては改修が必要になる見込み。
女川小は、女川浜大原地区に位置しており、女川中とともに堀切山地区に移転する。移転先では新しい学校の建設が進んでおり、新年度の2学期から小中一貫校での授業がスタートする見通し。
女川小の既存施設は、RC造4階建て延べ5274平方mの校舎、S造平屋1109平方mの体育館、RC造平屋289平方mの給食調理場、RC造で25m×7レーンのプール、木造平屋124平方mのプール付属棟などが建っている。
このうち、プールや給食調理場は20年度に解体撤去する。併せて20年度には、学校の敷地内に女川消防署や保育所を建設し、区画道路を配置する計画になっている。
校舎や体育館は継続利用を想定。以前に行った既存校舎の調査では、屋根からの漏水は見られないものの、エキスパンションジョイントの最上部から漏水が見つかっている。外壁は劣化が激しく、クラックが多く発生。トイレやトイレ前の廊下では、配管類からの漏水と思われる天井染みが散見されている。
町は昨年、利活用に向けた検討業務を久慈設計(仙台支社・仙台市青葉区)に委託し、4案をまとめてもらった。1案は4階を全て改修し、1~2階を公文書の倉庫、3~4階を事務所に使う案で、事業費が約7億円。2案は4階を全て改修し、1~2階を事務所、3~4階を倉庫とする案で、事業費が約6億円と試算されている。
3案は1~2階を事務所などに活用し、3~4階を封鎖する。4案は建物を解体撤去し、跡地に平屋のプレハブ倉庫を建てるというもの。3案と4案の事業費はともに4億円程度を見積もっている。
町は当初、NPO法人が運営している子どもたちの学習サポート施設「向学館」や、町直営の「心のケアハウス」を女川小の既存校舎内に移す予定にしていたが、公文書の倉庫も含めたこれらの利活用を一度白紙に戻した上で、民間事業者から提案を募る意向だ。
女川中は、女川浜大原地区あり、RC造4階建て延べ5491平方mの校舎、S造平屋1650平方mの体育館、プールなどで構成。敷地面積は建物部分が1万0116平方m、グラウンドが8361平方m、緑地などのその他が3万3521平方m。
旧女川第一小は、浦宿浜門前地区にあり、RC造4階建て延べ4884平方mの校舎や、S造平屋783平方mの体育館、プールなどが残っている。敷地面積は建物部分が7800平方m、グラウンドが6640平方m、駐車場などその他が9184平方m。校舎は「向学館」や「心のケアハウス」などに利用されている。
旧女川第三小は、尾浦地区にあり、RC造3階建て延べ1800平方mの校舎や、平屋の体育館、プールなどが残っている。山林を含めた敷地面積は2万2000平方m。大震災の後は校舎などを備蓄倉庫などに活用したが、現在は使用していない。