総合評価を本格導入 評価項目は一部改正 (石巻市 20年度から)

[2020/3/7 宮城版]
 石巻市は、大震災後に一時中止し、2017年度から試行を再開している総合評価一般競争入札(特別簡易型)について、20年度から本格導入する。併せて、価格以外の評価項目を一部改正する。改正内容は、配置予定技術者の工事成績評定を評価項目に加えたことや、施工実績の評価対象期間を拡大することなど。
 本格導入に当たっては、設計金額が一定額以上の工事を対象に総合評価を適用する。金額要件は段階的に引き下げる。20年度は1億5000万円以上、21年度は1億円以上、22年度以降は7500万円以上の工事が総合評価の対象となる。23年度以降も対象設計金額の引き下げを検討する。
 ただし、現行と同様、災害復旧・復興事業の工事には適用しない。また、設計金額が3000万円以上の土木工事と、同5000万円以上の建築一式工事であれば、工事担当課長が価格と価格以外の技術力、施工能力などを総合的に評価することが適当と認める場合、20年度以降に設定する金額要件に関係なく適用できることにした。
 評価項目の改正では、企業の技術力に関して、過去の類似工事の施工実績を現行の過去5カ年度までから「過去10カ年度まで」に拡大。工事成績(平均点)の評価範囲は、現行の過去2カ年度までから「過去5カ年度まで」に広げる。併せて、工事成績の評価基準を細分化した。
 公共機関からの優良工事表彰の実績(過去5カ年度)は、東北地方整備局、東北農政局、県、県道路公社、石巻市、石巻地方広域水道企業団を対象機関とし、2回以上で2点、1回で1点を配点する。
 現行では、国、県、県内の市町村が対象機関で、類似工事が2点、他工事が1点となっている。
 配置する技術者の能力評価に関しては、類似工事の施工実績を現行だと過去5カ年度までとしているが、これを「過去10カ年度まで」に拡大するとともに、「監理技術者、主任技術者または現場代理人として、実績の対象とする工事の全体従事期間の50%を超える期間従事した技術者を対象とする」という内容を追加。
 さらに、配置予定技術者の工事成績評定を評価項目に加えた。(別表参照)
 地域性(地域貢献)の評価項目では、「石巻市内に本社、本店が10年以上所在あり」を現行の4点から「3点」に、「石巻市内に本社、本店が10年未満所在あり」を現行の3点から2点に引き下げる。
 このほか、評価項目に「災害時における地域貢献の活動実績(過去5年間)」と「消防団協力事業所の状況」の2つを加え、順に実績ありで1点、認定ありで1点とする。なしは0点。「その他の地域貢献」は評価項目から削除し、「災害協定」のみを評価対象とする。
 社会性(労働福祉)に関しては、評価項目に「協力雇用主としての登録実績」を加え、登録ありで1点、なしで0点とする。
 減点(不誠実な行為)に関しては、指名停止1回につき1点減点とし、6カ月以上の指名停止は1回につき2点減点する。
 今回の改正により、価格以外の評価項目は4項目を新設、価格以外の評価点の配点が20点から25点に改正。これに伴い、価格以外の評価点に価格評価点を足した総合評価点を100点から105点に改正する。
 市は8年度から10年度まで総合評価を試行しており、大震災の発生を受けて11~16年度に一時中断し、17年度に試行を再開。現在は土木が設計金額3000万円以上、建築が同5000万円以上の工事のうち、工事担当課長が適当と認める案件に総合評価を適用している。本年度は13件の工事で総合評価を試行した。
総合評価を本格導入

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