県議会予算特別委 7河川に改良復旧 田川と巴波川遊水地やバイパス検討

[2020/3/5 栃木版]
 県議会予算特別委員会が4日開かれ、熊倉一臣県土整備部長は、台風19号で破堤した思川、永野川、黒川、荒川、秋山川の5河川について、上下流のバランスを考慮し改良復旧に着手するため、2月補正予算に調査設計費や工事費を配分。溢水により沿川に甚大な被害をもたらした中心市街地を流れる宇都宮市の田川と栃木市の巴波川は、2021年度から事業化できるよう、遊水地やバイパスなどの整備手法について国と協議検討しているなどと答弁した。

 改良復旧については、佐野市の秋山川3000mについて国交省の激甚災害特別緊急事業に採択されたほか、思川、荒川、永野川、黒川の4河川に今年度補正予算から改良復旧事業を導入するため、国と協議を進めているとしている。秋山川は激特事業57億円のほか、主要地方道桐生岩舟線大橋~JR両毛線の区間に別事業を導入し、事業のスピードアップを図るとしている。

 溢水により宇都宮と栃木市街地に氾濫被害をもたらした田川と巴波川については、21年度からの事業化を見据え、抜本改修に向け国と関係市町などとともに、検討会を立ち上げ整備手法の検討を進めていくとしている。

 田川について県は、上流側の宇都宮市と上三川町の下流側2カ所に遊水地の設置を検討。真岡土木事務所管内の五行川2カ所の遊水地をモデルに、本川に流す流量を調節し洪水時の氾濫を抑止する計画。

 また、宇都宮市は田川沿川の水上公園跡地を公園化する事業を進めているが、同地へ暫定貯留施設を整備するため補正予算で設計費、当初予算では工事費を配分。加えて、田んぼダムの試行と効果の検証、田川に流れ込む市管理河川の水門修繕、堤防のかさ上げなど総合的な雨水・治水対策を実施するとしている。

 栃木市の巴波川は、平成27年関東・東北豪雨でも氾濫被害が発生し、今回の台風と2回連続。同河川は観光資源としても活用され、市街地を流れ河道拡幅は困難な状況。市街地の中流域に比べ、下流の河川幅が確保されており、氾濫した狭さく部の水量を調整するため、地下水路等によるバイパスの検討を進めている。

 改良復旧7河川以外でも原形復旧に加え、堤防の強化と堆積土除去などを組み合わせ、効果的な治水対策を実施するとした。災害査定では、堤防を厚くする「腹付け」やコンクリートで覆う「巻堤」などによる復旧を盛り込んで金額を確定している。

 相馬憲一議員の質問に答えた。

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