匝瑳市内に移転集約 家畜保健所の3カ所(県畜産課)
[2020/2/20 千葉版]
県農林水産部畜産課は、県内5カ所にある家畜保健衛生所について、このうち3カ所を集約、移転させた新施設を建設する計画でいる。候補地として、旧野栄町圏内にある匝瑳市今泉地区を想定しており、次年度から基本設計などに着手する方針。開会中の県議会定例会に提出された、2020年度の一般会計予算案では、その委託料などとして、5839万円を計上しており、地元の理解を得た上で、今後の事業を進めたい考えだ。
県が既存施設の移転集約に当たって候補地として選定したのは、匝瑳市今泉に残る県農林総合研究センター(農総研)の砂地試験地の跡地。旧野栄町の市街地から海側(九十九里浜側)に向かった箇所にある。
同地を候補地として選定した理由について県は、県有地として用地が利用可能であることのほか、市街地や住宅地など中心部では、家畜伝染病の発生時などに、感染の封じ込めなどに伴う移動制限が厳しくなるなど管理が困難になることに加え、匝瑳市をはじめとする香取・海匝地域には、県内の畜産農家が集中しているためだとしている。
県では現状の機能を維持した上での新たな施設への機能集約について、老朽化または狭あい化している現機能の充実に加え、主な生産地に地理上で近くなることから、検査のほかその後の対応などでスピードアップが図れることに期待しているという。次年度にも新施設の基本設計を委託できれば、21年度には実施設計に移行して22年度にも着工し、23年度の供用開始を目指したいとしている。
県では現在、千葉市花見川区の中央家畜保健衛生所のほか、佐倉市の同衛生所佐倉支所、東金市の東部家畜保健衛生所、香取市の北部家畜保健衛生所、鴨川市の南部家畜保健衛生所の全5所体制で、家畜伝染病の発生やそのまん延の防止と、家畜衛生思想の普及を図っている。
このうち統合を図るとしたのは佐倉支所と東部、北部の3カ所で、旧耐震基準ではあるものの、いずれも一定の耐震性は満たしているという。佐倉支所では病性鑑定を担当しており、県内で発生した家畜疾病の原因を究明するための各種検査を実施。県ではこれらの機能を新施設でも維持または拡充させる考えでいる。
県は施設の計画などを庁内でまとめているものの、具体的な施設の構造や規模などは、追って設計の中で詰めてもらう考え。統合予定の施設については、県が17年度にまとめた県有建物長寿命化計画の中で、建て替えを図る方針の施設としてリストアップされている。一方で対象外の2施設についても老朽化が進んでいる施設があり、県では追って対応を検討していくとしている。
既存施設の構造・規模などは次の通り。▽施設名=[1]完成年[2]構造[3]規模(延床面積)──の順。
▽中央家畜保健衛生所会議棟・事務所庁舎(千葉市花見川区)=[1]86年・70年[2]2階建てS造・RC造[3]254平方m.399平方m
▽中央家畜保健衛生所管理棟及び第一研究棟(佐倉市)=[1]73年[2]RC造平屋[3]712平方m
▽東部家畜保健衛生所(東金市)=[1]66年[2]RC造2階[3]288平方m
▽南部家畜保健衛生所(鴨川市)=[1]67年[2]RC造2階[3]465平方m
▽北部家畜保健衛生所事務所庁舎・講習室・車庫(香取市)=[1]68年・88年[2]RC造・SRC造2階[3]451平方m.275平方m