重点区域に5市町追加 海岸漂着物で地域計画改定へ(県)
[2020/2/7 千葉版]
海岸漂着物の対策について話し合う、2020年度の県海岸漂着物対策推進協議会(会長・石崎勝巳県環境生活部環境対策監)が5日、千葉市内で開かれた(写真)。今回はこれまでに地域計画で指定された重点区域について、南房総市(外房・南房)のほか、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里市という九十九里浜沿いの計5市町を重点区域に追加する旨が示された。地域計画は今夏にも予定される21年度の同協議会で案が示され、パブリックコメントを経て今年9月にも改定される見通しだ。
県海岸漂着物対策地域計画は、その対策を総合的かつ効果的に推進するため、法に基づく国の基本方針により、11年2月に策定され、16年11月に1度改定が行われている。
本県では11年の計画策定時に、館山市と木更津市、鴨川市、富津市、いすみ市の5市をまず重点地域に選定。16年には銚子市と旭市、一宮町、白子町、御宿町の2市3町が追加され、県はこれら計10市町24海岸などで対策推進事業を展開している。
今回は18年6月に環境省が海岸漂着物処理推進法を改正したことを受け、翌19年5月には国が基本方針を変更するとともに「海洋プラスチックアクションプラン」や「プラスチック資源循環戦略」が策定され、県でも同11月に重点区域の選定に当たって希望調査を実施した結果、5市町から要望があったという。
今後は7月にも対策推進協議会を開き、計画案を提示する考えで、翌8月にはパブリックコメント、その後の同協議会で結果について報告があった後9月にも改定。来年4月からは、追加重点区域でも対策推進事業が進められる見通しとなっている。
重点区域では18年度、回収・処理事業や発生抑制事業が展開されており、回収・処理事業では先に決定した5市で1905万円を投じ2,517立方m、重量にして511tの漂着物を処理したという。
追加される5市町については県が昨年12月から今年1月にかけてヒアリングを実施。南房総市は市民が回収・集積に当たっているものの、漁具やタイヤなど市で受け入れていないものも含まれるなどしていること、九十九里浜沿いの市町も、年間清掃委託などでは回収・処理し切れないと要望しているという。
年間回収量は把握できるだけで南房総市(外房)が11t、山武市が18t、大網白里市が28t、九十九里町が15t、横芝光町が4tなどとなっている(16~19年度の最大値)。
これまでの指定では、いずれも日本の渚・白砂清松百選にも選ばれるなど、美しい海岸を維持することや、漁業権の設定などが理由となっており、一方で16年に申請した市川市・船橋市が却下されるなどしている例もある。