栃測協 査定測量1500カ所に上る 効果発揮したドローン活用

[2020/01/31 栃木版]

 台風19号による公共土木施設被害の災害査定が31日に完了するが、先行して実施した農地・農業用施設などと合わせ、県測量設計業協会が受託した災害調査箇所数が1500カ所余に上ることが分かった。発災直後から被災現場で調査に着手。会員各社が保有するドローンが効果を発揮したという。同協会の堀江育男会長が本紙のインタビューに答えたもので、今後も発生が懸念される大規模災害に備え、今回の調査活動状況を踏まえ、課題を抽出し報告書としてまとめ、県に提案する見通しという。       =2面に堀江育男会長インタビュー掲載

 10月12日~13日にかけて、本県に多量の雨をもたらした台風19号。県測量設計業協会は、県との災害協定に基づき、県内9土木事務所ごとに担当を割り振り、被災箇所の調査に当たった。

 農地・農業用施設の災害査定は11月、公共土木施設の本格的な査定が始まったのは12月から。同協会では県農政部と県土整備部所管の査定を主体に、国や市町の災害査定に伴う測量設計を担い、県からの受託箇所だけで1137カ所を数えた。

 台風19号は、広域で河川の決壊や洗掘、道路の陥没などが発生。宇都宮土木事務所管内の大谷街道沿いの姿川では土砂崩れ、横山街道沿いの田川は護岸が崩壊。鹿沼土木事務所管内では粟野地区が集中的に被災したほか、黒川や思川沿岸の農地には大量の土砂が流入。日光土木事務所管内でも今市地区を中心に被災し、県道宇都宮今市線では法面が崩落、通行止めの措置が取られた。

 県南の栃木土木と安足土木事務所管内では、JR両毛線の軌道をも流し去った永野川、住宅地まで水が押し寄せ半壊となった秋山川の決壊。矢板土木事務所管内でも矢板市を流れる中川の堤防が決壊、大田原土木事務所管内では蛇尾川から流れ出た土砂により沿川の農地では今春の作付けが危ぶまれている。

 短期間で災害査定に間に合うよう成果品の作成に威力を発揮したのは、会員各社が保有するドローン等による計測という。二次被害が危ぶまれ、人が近づけない河川や道路等の被災箇所の測量に効果は絶大とし、各自治体が行う復旧工事の図面作成を容易にした。

 昨年の台風被害による復旧事業費を盛り込んだ補正予算が、衆議院を通過し近く成立が見込まれている。県をはじめ県内市町は災害査定が完了する2月から、渇水期に間に合わせるように工事発注の準備を整えている。

 堀江会長は「本復旧工事に備え、査定設計段階で精度を上げ測量調査を行った。改良復旧河川を含め、見直しが必要となる箇所も出てくると思うが、安全・安心な復旧工事を支え、3カ年と限られた復旧期間のため、スピード感をもって対応したい」などと述べた。

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