下都賀農振 大谷東部83.6ha20年度着手へ 18.2億円で耕区1ha、本暗渠
[2020/1/16 栃木版]
県は、農地整備事業(経営体育成型)大谷東部地区(小山市)の整備計画を固め、国に補助申請した。事業費には18億2800万円を試算し、圃整工83.6haに暗渠排水81.4ha、道路工7.2km、用水路工11.5kmと揚水機3基、排水路工10.9kmと樋管6カ所、生態系保全池1カ所に加え、3路線程度に環境保全水路を計画。県下都賀農業振興事務所によると、一級河川西仁連川に沿った谷地の地形のため、ほぼ全域に本暗渠を施工、高台となっている3カ所には地下水を汲み上げるポンプを設置、安定した水量を確保するとした。耕区は125×80mの1haを基準に50a以上の大区画が全体の96%とする計画。採択予定の2020年度は境界確認や換地等の調査設計、実施設計を経て22年度の着工を目指す。
大谷東部地区は小山市の中心部から南東約3kmに位置し、標高20~30mの沖積地の低平水田地帯。戦前に耕地整理の面整備を実施。区画は整っているものの、20a程度の小区画水田で大型機械による耕作に苦慮しているほか、多くは土水路のため維持管理や安定した水量の確保が難しいとした。加えて、未整備の用排兼用水路のため、地下水位が高く、転作に支障を来しているという。
整備対象の農地は124.9haで、新4号国道を挟んで北側の22.5haは市が工業団地を計画しており、換地により非農用地を創出する。用水は東側を流れる一級河川西仁連川の上流から舞鶴、二国、田間の3カ所の取水堰により地区内に供給しているほか、ため池の武井溜と一部揚水機により取水、西仁連川や地区内外排水路へ自然排水している。
事業では、地区内の用排水路を分離、整備装工し水の有効利用と管理の省力化を図る。用水路工は支線と小水路が主体に延べ11.5km、3基の揚水機と合わせ工事費に2億4800万円を試算。排水路も支線と小排水路が主体で延べ10.9kmを計画、6カ所の排水樋管と合わせ4億7300万円を試算している。
生態系保全施設は、魚類の移動を考慮し、排水路に落差30~50センチ程度の水路魚道工と3路線程度に環境配慮型深み水路を計画。大区画の圃場が確保できない狭さく部1カ所に生態系保全池を想定している。
道路は全幅5mを標準に土砂道の支線道路延べ7.2kmを整備、工事費には1億3500万円を試算した。83.6haの整地工には工事費5億0500万円を投入する計画。
事業期間は、25年度までの6年間を予定。事業に着手する20年度には、換地や調査設計を予定しており、地区界確定測量や外業調査のための実施設計等が実施される見通し。面整備に向けた実施設計とともに調査設計に2年間、工事は22年度から着手する計画。同地区には、小山市大谷東部土地改良区が設立されている。
西仁連川の取水堰のうち田間堰は、老朽化を理由に小山市が改修を実施している。