「生産性向上」の拡大を ICT活用現場で見学会(高秀建設)

 

起工測量の成果に沿って動くMCショベルを見学する

起工測量の成果に沿って動くMCショベルを見学する

高秀建設(印西市、高橋弘樹代表取締役社長)は11日、印西市平賀地区で施工する県発注の「土砂災害防止(急傾斜)工事(辺田)」の現場で「i-Construction現場説明会」を開いた。最新の技術を取り入れた「ICT活用工事」の現場に、県土整備部印旛土木事務所をはじめとする関係者が訪問し、起工測量の成果に沿ってバケットを動かすマシンコントロール(MC)機能を搭載したショベルが、法面成型を進める様子をつぶさに観察した。

 高秀建設が県の発注工事でICTを活用するのは2回目。18年度に今回の現場に隣接した「土砂災害防止(急傾斜)工事(辺田その2)」で取り入れたのが最初で、今回もコマツカスタマーサポートの助力を得て、MCショベルこそ導入したものの、3次元起工測量などに用いるUAV(ドローン)や関連ソフトなどは、今後の活用のため自前で導入したという。

 県印旛土木事務所からは、町田英之所長をはじめ技術者8人が訪れた。説明会に先立つあいさつで町田所長は、建設業の担い手不足が叫ばれる中、生産性の向上へICTは重要であり、県でも対象工事の拡大など積極的な運用を促していると説明した。

 また、視察に駆け付けた瀧田敏幸県議会議員も、54市町村の要望の6割以上がインフラ整備関連のものであり、県土整備部の予算が20年ぶりに大幅増となった一方、予算全体に占めるその割合は全国でワースト2位となっていることに言及。ベテラン技能者の大量離職時期が迫る中、地場の企業による案件でも、ICTを活用した工事が増えることに期待を込めた。

 現場ではコマツカスタマーサポート東京カンパニーの関部直人氏が、国によるi-Construction活用の定義やこれを促す取り組みに始まり、詳細な手順や3次元データ、今回の現場に使われているICTショベルの紹介、出来形管理帳票(ヒートマップ)などの解説が行われた。

 参加者らは施工中の法面を降りて、MC機能付きの重機が動く現場に移動。説明を受けながら、あらかじめプログラミングされた形状通りに、AIが重機などの位置座標だけでなく、アタッチメントの形までも把握し、1cm単位で成型作業を行うことや、コクピットでレバーを操作しても、アームが余計な動作をしないことを確認した。

 参加者は人の手でこれまで何日もかかっていた起工測量が、10分ほどのドローンの飛行データで済んでしまうことのほか、丁張もなしに重機が理想の形に成型を進めていく様子に驚き、盛んに質問を投げかけるなどしていた。

 高橋社長はICTを活用しようと思ったきっかけについて、少ない日数や人員で工期が短縮できることなど、現場作業の効率化が図れると聞き、実際に取り入れてみて興味を持ったといい、初回の施工体験から実際にドローンを購入、試用した成果に驚いたという。

髙橋社長

髙橋社長

 さらに高橋社長は、熟練工が必要だったこれまでの仕事のうち、経験の浅いオペレーターでも容易にできる作業の幅が広がったとし、今後も最先端の技術を採用した施工を現場に取り入れていくことに意欲を見せていた。

 今回現場となった「土砂災害防止(急傾斜)工事(辺田)」は、工事延長が45・9mで、掘削工が6,400立方m、簡易吹付法枠工が1,402平方mの規模。起工測量で掘削が必要な土砂量の事前の推計が容易となるため、ダンプカーの手配などの手間も大幅に削減できているという。

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