決壊ため池3カ所復旧 測量設計/川崎地質と見積り(県大河原振興)

[2019/11/20 宮城版]
 県大河原地方振興事務所は、台風19号の豪雨によって決壊した白石市内の農業用ため池3カ所について、災害査定に向けた測量設計業務を委託する。業務委託に当たっては、21日に川崎地質(北日本支社・仙台市宮城野区)と見積もり合わせし、金額が折り合えば随意契約する考え。災害査定は来年1月末までに受ける予定だ。
 決壊したため池は、逆川上ため池、逆川下ため池、長柴山ため池で3カ所。いずれも同市大鷹沢大町地区に位置しており、県の防災重点ため池に指定されている。台風19号では貯留機能を上回る大雨に見舞われ、水があふれて堤体が崩れる被害を受けた。
 各ため池の堤高と貯水量は、逆川上が堤高5.8mで貯水量4万5330立方m、逆川下が堤高4.8mで貯水量が4万1970立方m、長柴山が堤高6.8mで貯水量が1万2000立方mとなっている。
 災害査定に向けた復旧調査測量設計業務は、3カ所のため池を一括して随意契約で委託する。履行期間は2020年1月20日まで。この業務で復旧方法を検討する。基本的には原形復旧となるが、安定計算などをやり直すため、その結果次第では堤体の幅が広くなるといった可能性もある。
 防災重点ため池は、2018年7月豪雨で多くのため池が決壊したことから、農林水産省が防災重点ため池の選定の考え方を見直し、同年11月に新たな基準を提示。新基準では「決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在し、人的被害を与えるおそれのあるため池」となっている。
 県はこの基準に基づき、農業用ため池5459カ所のうち、防災重点ため池として617カ所を再選定し、本年6月に公表した。大河原管内は、ため池の総数が491カ所で、うち防災重点ため池が85カ所となっている。
 

角田でもため池の復旧測量設計

 同事務所は、角田市小野地区で台風19号により赤生ため池が決壊したため、21日に見積もり合わせして災害復旧の測量設計業務を委託する。見積もり合わせは、大江設計(仙台市青葉区)、仙台土木設計(同)、サトー技建(仙台市若林区)の3社と行う。
 赤生ため池は、堤高が7.5m、貯水量が2万6000立方mで、防災重点ため池には指定されていない。地元との協議次第では、代替水源を確保した上で、復旧しないことを選択する可能性がある。
 今回の測量設計業務では、受益面積の変化なども踏まえた上で、復旧した場合としない場合の効果や影響などを比較検討し、地元との話し合いの検討材料とする。業務の履行期間は20年1月20日まで。

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