宮城県民会館の移転改築 美術館、NPOプラザも複合化 文化芸術の拠点に(県有施設の検討)

[2019/11/19 宮城版]
 宮城県が保有する土地や建物の再編・集約について、11月18日に有識者らによる会合が宮城県庁で開かれた。宮城県は統廃合のモデルケースに挙げている建物10施設のうち、宮城野原(仙台市宮城野区)に移転改築が検討されている宮城県民会館に、宮城県美術館と榴岡分庁舎のみやぎNPOプラザを複合化させる案を示した。宮城県は12月に再編集約の基本方針案を示す意向だ。
 県庁で開かれたのは「第4回県有施設再編等のあり方検討懇話会」(座長・堀切川一男東北大学大学院工学研究科教授)。大学教授ら有識者6人と、後藤康宏県震災復興・企画部長ら約10人が出席した。県有施設の老朽化によって維持管理費の増加が懸念されることから、同懇話会では施設の再編検討を話し合っている。
 モデルケースに挙げられた10施設のうち、老朽化が著しい県民会館はすでに、宮城野原の仙台医療センター跡地へ移転改築する方向性が示されていた。宮城県は今回、これに美術館と榴岡分庁舎のみやぎNPOプラザを集約し、同地を文化芸術の拠点にする案を提示した。
 美術館は別の有識者会議でリニューアルの方向性が話し合われ、敷地内に増築棟を建てて展示スペースを広げる計画が決まっていた。しかし宮城県は、県民会館と一体化して新施設を建設するように見直した。その代わり、新施設にユニバーサルデザインを取り入れたり、多様なニーズに応える展示をするという基本方針は踏襲する。
 仙台医療センター跡地の近くには広域防災拠点を整備することになっていることから、榴岡分庁舎に活動拠点を置いているみやぎNPOプラザも県民会館、美術館と併合し、防災活動などを連携して行うことを検討する。
 3施設の複合案では、跡地5万4530平方mのゾーニング案も3案示された。日照の関係で土地の西側は建物の高さに制限があることから、高さのある建物が想定される県民会館を東側に建設し、西側に美術館や屋外広場を設ける。この案を基本に、民間が商業施設を建設することを想定した別の2案が示された。
 仙台医療センター跡地はJR宮城野原駅が隣接し、周辺には楽天生命パーク宮城があることから、にぎわいを創出するという点で3施設の複合案は有識者から高く評価された。
 また、宮城野区幸町にあるエスポールみやぎ(宮城県青年会館)は、宮城県母子・父子福祉センター、榴岡分庁舎にある宮城県婦人会館とともにエスポールみやぎの敷地内に集約する案も示された。3施設とも福祉や研修施設としての親和性が高い。
 このほかの施設については当面、現施設を継続使用しながら、引き続き関連性が高い施設との統合などを検討していく。
 再編の方向性について有識者から特に異論はなく、おおむね評価された。最も注目されている県民会館、美術館などの複合案については、仙台市の都市計画も関連することから、有識者らは宮城県と仙台市が連携を深めることを要望した。
 有識者から方向性を評価されたことを受け、宮城県は12月中に開催される5回目の懇話会で、集約・複合化に関する基本方針の中間案を示す考え。意見聴取を行いながら、本年度末までに基本方針を策定する。
宮城版191119-1面_県有施設のあり方検討会_表

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