延べ3・7万平方m・105億円で検討 新松戸駅東側で共同住宅の設計(松戸市)

[2019/11/16 千葉版]
 松戸市街づくり課は、新松戸駅東側地区土地区画整理事業のメーンとなる、商業施設や公共施設を含む共同住宅の整備に向け、12月16日に開札予定の制限付き一般競争入札で、基本設計業務を委託する。立体換地に充てる施設の規模は、自走式の立体駐車場約320台分を含む延べ約3・7万平方m、事業費は計画上の想定として約105億円とした。入札の予定価格には1億1,083万2,000円(税抜き)を設定している。

 同土地区画整理事業は、8月16日付で県知事から認可。対象地区は幸谷字宮下や字溜ノ脇の各一部で、合計面積は約2・6haあり、市では立体換地分に充てる建築物(マンション)を中心に、駅前広場やこれに至る都市計画道路とのアクセス道路の整備を計画するなどしている。

 市では新松戸駅東側地区について、健全な市街地の形成に加え、地区の課題である狭あいな道路の解消のほか、駅前広場や下水道、斜面緑地の整備などを目的に、市施行による立体換地を活用した土地区画整理事業を計画した。

 これに伴い2018年9月には、事業アドバイザーに三菱地所レジデンス(東京都千代田区)を特定。駅に接する同地区を優先的に整備する地区とした上で、まちづくりに対する地元合意の形成支援とともに、将来の生活再建の方策を示すため、事業への賛同を求めることを委託していた。

 同業務では事業アドバイザーとして、立体換地建築物の導入施設に関わるアドバイス(周辺の住宅市場などの知見に基づく立体換地建築物の企画に伴う支援)のほか、権利者の生活再建支援方策に関わるアドバイス(立体換地建築物の換地床を取得する権利者の生活再建支援方策の立案に伴う支援)、権利者合意形成支援として、権利者の合意形成に当たり、戸別訪問の際の資料作成と同行支援などを実施した。

 新松戸駅の東側地区はJR常磐線、武蔵野線の新松戸駅の東側に隣接し、都市開発に当たって高いポテンシャルがあるとし、この中で1971年に新松戸東部土地区画整理事業(約63ha)が都市計画決定された以降、市による土地区画整理事業の事業化に向けた取り組みがされてきたが、権利者による「新松戸東部土地区画整理事業に反対する陳情書」が市議会に提出、採択され、市は事業を凍結していた。

 その後、区域の一部では、組合施行による土地区画整理事業(3地区、約13ha)が実施されてきたが、他の区域で個別に開発が進行、狭あいな道路などの課題を抱えたまま、宅地化が進んでいるという。

 市では、同駅前のポテンシャルを生かすために必要な公共用地は整備しつつ、権利者の生活再建との両立を図り、立体換地手法を導入することを決め、その中で今後事業を具体化するに当たり、集合住宅などの供給で知見のある事業者の協力を得ながら進めていくことが必要であることから、事業アドバイザーを得て業務を進めていた。

 立体換地は、土地区画整理法にも定められた、土地区画整理事業で従前の土地または借地権に対し、施行者が処分する権限のある建物と敷地の共有持ち分を与えるもの。全員合意で進めることが基本となることや、地権者が多く規模の大きな地区には馴染みにくい一方で、より簡易な手続きで実施でき、単独の民間開発と比べて少ないコストでの整備が可能となる。

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