県河川課 秋山川、永野川を改良復旧 河積確保し巻堤検討

[2019/11/9 栃木版]
 県は、堤防が決壊した佐野市の一級河川秋山川や栃木市の同永野川で改良復旧を計画していることが分かった。2河川とも合流する一級河川渡良瀬川など下流域に流す計画流量の増加が可能と判断したもの。秋山川は下流2kmの直轄河川区間で、引き堤による河積の拡大を実施。永野川も杣井木川合流地点における排水機場の増設に着手するなど、近年の降雨量の増大化を視野に洪水流量を見直す動きが出ていた。11月補正予算の公共災害復旧事業費における河川分は203億4935万円、改良復旧の調査費には5億6000万円を配分した。
災害査定今月下旬から

 県河川課によると、改良復旧の手法としては洪水を安定して流すため、河川断面の拡幅や河床掘削、堤防裏面までコンクリートで覆う巻堤、洗掘による破堤を遅らせる堤防天端の舗装など粘り強い堤防の採用が挙げられるとした。

 また、上流部への対策として貯留機能を持つダムや調整池、本川から分岐して他の河川に流し水量を調節する放水路などの手法がある。

 秋山川については、決壊箇所を含む佐野市街地3800m区間について事業化され、現在改修が進められている。改修事業に合わせ今回の改良復旧事業を導入し、当初は10年程度を想定していた事業期間を今後、4~5年に短縮して改修のスピードアップを図っていくとした。

 破堤箇所には両河川とも、堤防全面をコンクリートブロックで覆う巻堤の採用を検討。狭さく部を解消する河川断面の拡幅などを行い、洪水に備えていく考え。

 第2次世界大戦後、本県の河川はカスリーン台風などの教訓を踏まえ、上下流の流量のバランスを考慮し、一級河川で1次改築を完了。近年は改修を進めてきた当時と比べ、雨の降り方も大きく変わっており、降水量が約1.4倍増えているという。

 なお、国の災害査定は今月下旬から来年1月にかけ、複数回に分けて実施される見通し。

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