週休2日とICTに加点 県が来年度から実績評価(日建連と意見交換)

[2019/11/8 宮城版]
 日本建設業連合会東北支部(平田尚久支部長)は6日、仙台市内で県土木部との意見交換会を開いた。日建連は週休2日の実現に向けた環境整備やICTの全面的な活用などを要望。県は週休2日の実施とICT活用工事に関し、9月から実施証明書や活用証明書を発行しており、来年度からは総合評価落札方式で加点評価する意向を伝えた。

平田支部長

平田支部長

金子技監

金子技監

 意見交換会には、日建連から平田支部長ら12人、県土木部から金子潤技監兼次長ら5人が出席。平田支部長は、5年後に建設業にも時間外労働上限規制が適用されることについて触れ、「この(5年間の)猶予期間内に週休2日を定着させなければいけない」と強調。金子技監は、県が2021年度から作る新たな建設産業振興プランの中で、週休2日など働き方改革の取り組みを「しっかり位置付けていかなければならない」と応じた。
 意見交換では▽働き方改革・担い手確保への取り組み▽生産性の向上▽社会資本の着実な整備──に関して話し合った。
 働き方改革・担い手確保では、日建連が週休2日の実現に向けた環境整備と発注者指定型工事の全面導入、工程の共同管理の推進、建設キャリアアップシステムの普及促進などを求めた。
 県は週休2日の実現に向け、本年度にモデル工事28件(7つの土木事務所で4件ずつ)を目標に掲げ、順次発注していることを報告。来年度からは週休2日の達成に対し、インセンティブとして総合評価で加点する考えを明かした。
 週休2日の発注者指定型工事は、県の場合だと中小規模の工事が多く、入札不調のリスクが高くなる恐れがあるため、特に震災復興期間は受注者希望型で対応していることを紹介。今後はモデル工事を拡大するとともに、指定型の導入も検討すると答えた。
 工程の共同管理については、県が受注者の作成した工程表を基に工程会議などを開催し、工事の進行管理に努めていることを説明したほか、来年度からASP(工事情報共有システム)を全面導入する方針を伝えた。
 日建連は、受注者の工程表よりも先に、発注者側の工程計画に関する考えを示し、それを基に契約条件を確認して進めるべきと指摘。県は、工期設定支援システムがあれば、工種ごとにどれくらい工期がかかるのかといったことを示した上で、発注できると回答した。
 建設キャリアアップシステムの普及促進に向けては、同システムを活用した労働環境の改善や処遇改善に対し、県が総合評価の評価項目に取り入れ、加点対象にすることを検討していると伝えた。
 生産性の向上に関する議題では、日建連がICT活用工事やCIMの活用状況などについて県に質したほか、BIMの活用拡大を求めた。
 県は、本年度から原則として全ての工事でICT施工を導入し、9月からICT活用証明書の発行に至ったことを報告。来年度からは総合評価落札方式でICT活用実績を加点評価する意向を明かした。
 このほか、県と地元建設業者、測量設計業者のマッチングを視野に入れたICT研修が開催予定であることを紹介。BIM/CIMは、県が10月から活用モデル業務の委託に踏み切ったことを伝えた。
 社会資本の着実な整備に関する議題では、日建連と県がともに国土強靭化のための取り組みが重要との認識を共有し、3カ年の緊急対策だけでなく、その後も十分に予算措置がされるよう国に働きかけることを確認した。

働き方改革・担い手確保への取り組みなどについて話し合った

働き方改革・担い手確保への取り組みなどについて話し合った

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