地域を守る建設業 台風19号への災害対応(宮建協栗原支部)
[2019/10/26 宮城版]
記録的な大雨により県内各地で大きな爪痕を残した台風19号。県建設業協会栗原支部(上田徹支部長)では、地域を守る建設業として、どのような対応を行ったのか、上田支部長に話を聞いた。
栗原支部は11日、栗原市役所、県北部土木事務所栗原地域事務所など関係機関と災害時応急対策連絡体制を確認。台風が接近してきた12日午後2時に役員7人と職員2人で災害対策本部を立ち上げて、地域住民の生活や経済活動への影響を最小限に食い止めるために備えたという。
被害状況の一報が入ったのは13日午後3時、北部土木事務所栗原地域事務所から照越川、荒川、熊谷川で堤防が決壊したため、協定に基づいた応急復旧の要請が行われた。対応する業者は地域性を考慮して照越川を野口建設(栗原市)、熊谷川を高正建設(同)に依頼。荒川は野口重機(同)の施工する築堤工事の請負契約区間内であったため、応急復旧から除外され、同社が工事内で対応することになった。
熊谷川は志波姫地内で20mにわたって決壊。応急復旧は21日に完了した。照越川は築館で40mにわたって決壊したが、25日にほぼ応急復旧を完了した。
栗原市からは15日に若柳地域の倒木撤去、18日に野口建設が災害復旧を行っている周辺の農道が崩壊しているため復旧要請があり、どちらも大目建設(同)が対応した。
このほか築館・若柳署からも大規模停電が発生した場合、市内の主要信号機を復旧するための発動発電機の出動要請などもあった。同支部では毎年、大規模災害に備えた信号機の復旧訓練を警察署と連携して行っており、今回は幸いにも出動する事態にはならなかったという。
上田支部長は「今回は大きな混乱もなく、復旧対応を行うことができた」と振り返り「支部会員に今回個別に対応した案件などアンケートをとり、今後の災害対応に役立てるとともに、連絡網の訓練なども定期的に行い、いざという時の備えをさらに強化していきたい」と語った。
上田支部長は水はけが悪く、内水氾濫の起こった瀬峰地区についても触れ「同地区は関東・東北豪雨でも同様の冠水が起こったと聞いている。われわれは地域の守り手として、問題のある箇所の具体的な解決策を提案していく活動も必要と感じた。自然災害の被害を最小限にしていく責任の一端はわれわれにもあり、そのことは国土強靭化にもつながる」と述べた。