道路冠水の中、土砂崩れの現場急行 千葉市消防局の緊急要請受け(県解体組合)
[2019/10/30 千葉版]
24日から降り出した豪雨の影響は、県内各地に大きな傷跡を残した。千葉市消防局は25日午後2時過ぎ、県解体工事業協同組合との「災害における消防活動協定」に基づき、緊急活動を要請した。現場近くにいた水間純水間建設工業専務が現地に急行、消防の現地指令と打ち合わせて、必要となる資機材を決定、直ちに小松理事長に連絡を取った。
ここからは特に困難を極めた。記録的な豪雨の影響で、道路が冠水し、通行が遮断されていたからだ。
水間専務が現地に来る際にも、千葉外房有料道路の板倉インターの出口が冠水していた。それから通行止めの箇所が増えていることが想定されるため、小松理事長が現場にたどり着けるかが心配だった。住宅の下敷きになっていると思われる住人のことを考えると、「早く来てくれ」と神にも祈る気持ちでいたという。
その時、小松理事長は大型回送車に重機を載せ、オペレーターと現地に向かおうとしていた。途中、冠水している場所が至る所にあり、黄色灯を回転させ、通行規制している警官と交渉しながら突き進んだ。深さ1m以上ある場所もあり、後ろから付いてきた社員の車は断念せざるを得なかった。
通常30~40分で到着する距離だが、現地まで1時間半かかった。到着後、解体業者の本領を発揮する。これまでにも、九十九里いわし博物館ガス爆発事故(04年・九十九里町)や住宅火災での活動経験が生きた。
まずは、住宅の間取りを確認し、居間にいた可能性が高いと判断。そこに向かって、細心の注意を払いながら、梁を一本ずつ取り除いていった。だが、最初の想定は「風邪を引いていた」という新たな情報から変更され、居間の隣にある寝室まで進めることなった。
残念ながら、住人は死亡が確認された。ただ、条件の厳しい災害現場において、4時間足らずで男性を見つけることができた。消防隊員は、重機オペレーターの操るブームの滑らかな動き、住宅部材や家具を優しくつかむ熟練の技術に感服した。作業を終え、会社に戻って荷物を下ろすころには、すでに日付が変わっていた。
小松理事長は本紙の取材に対し、「解体業者を含め、こうした建設産業界の活動は、世間にあまり知られていない。採算を度外視し、社会に貢献している姿を見てほしい」と話した。こうした活動を本紙は、今後も積極的に取り上げ、報道していきます。