復旧や給水確保に全力 地域建設業の本領を発揮(宮建協仙南支部ら)
[2019/10/25 宮城版]
県建設業協会仙南支部(支部長・廣谷秀男日広建設代表取締役)は、県大河原土木事務所からの要請を受け、台風19号で被災した河川の応急復旧や道路啓開作業などに全力を挙げて取り組んでいる。丸森町では浄水場の取水口が豪雨被害によって流され、断水に苦しむ住民がいるため、新たな取水口の確保に必要な道路啓開も同支部の会員企業が担った。住民の暮らしを支える地域建設業が本領を発揮している。
県大河原土木事務所によると、台風19号による管内の被害は、24日時点で県管理河川が550カ所程度で被害額が約80億円、県管理道路が230カ所程度で被害額が約69億円に上っている。道路の啓開作業や河川の応急復旧工事は、宮建協会仙南支部の会員企業が中心となって対応に当たっている。
河川は、丸森町内の内川や新川、五福谷川、白石市内の斎川、角田市内の高倉川や半田川などで一部が決壊したほか、堤防が崩れたり護岸がえぐれたりしている。
同支部は、廣谷支部長が委員長を務める災害対策準備室を常設しており、この準備室のメンバーが中心となって13日に現地で活動を開始した。
河川の応急復旧に必要な大型土のうは6000袋を用意し、これまでに約半分ほどを設置し終えた。特に被害が大きい丸森町内の河川では、会員企業の本田組(丸森町)や石川組(同)、春日部組(同)らが対応に当たっている。
23日には、内川と新川、五福谷川の堤防復旧について、県から権限代行の要請を受け国土交通省東北地方整備局が工事を進めることが決定。東北地方整備局は災害協定を結ぶ宮建協に応急復旧の協力を求めた。
県大河原土木事務所管内の道路については、法面の崩落や路肩の決壊、陥没などの被害が発生。24日時点で18カ所を通行規制しており、うち16カ所が全面通行止め、2カ所が片側通行の状態。
特に大きな被害を受けているのは阿武隈川沿いを通る丸森町内の国道349号で、被害箇所が30カ所程度に上る。このほか、丸森霊山線、丸森梁川線、国道113号福岡蔵本道路などの被害が目立っている。
応急復旧に当たり、同事務所は8地区に分けて維持管理業者に対応を依頼。白石地区は遊佐組(白石市)、角田地区は加藤組(角田市)、蔵王地区は春工業(蔵王町)、倉石岳地区は佐藤技建(同)、七ケ宿地区は亀岡建設(白石市)、柴田・大河原地区は丸敏建設(柴田町)、川崎地区は大宮建設(川崎町)、丸森地区は春日部組が対応している。
維持管理業者だけで対応しきれない分は、宮建協仙南支部に協力を要請。同支部の会員企業が半日でも早い復旧を目指し、道路啓開や応急復旧に尽力している。
特に丸森町の道路は、役場などがある中心部から川に沿って県道が放射線状に延びており、そうした県道を復旧するには、町道を使ってう回しながら中心部に入る必要があり、地元の特性を熟知した建設業者でなければ作業がスムーズに進められないのが実情だ。
また、町内の鷲ノ平で取水口が流されてしまい、断水で困っている住民がいるため、取水口の復旧に向けた道路啓開にも同支部が力を注いだ。ようやく啓開作業が終わり、水道関係の事業者が導水工事に着手したところだという。町民が待ち望んで止まない水の供給という部分でも、同支部の貢献が光っている。