直轄代行で堤防復旧 丸森の阿武隈川支流18カ所 県が国に要請
[2019/10/23 宮城版]
県は23日、台風19号で決壊した県管理河川36カ所のうち、18カ所の応急復旧工事について、国に権限代行を要請した。18カ所はいずれも阿武隈川の支流で、丸森町内に位置する。国土交通省から承諾が得られたため、東北地方整備局が災害協定を結ぶ県建設業協会に協力を求め、同日中に応急復旧工事に着手した。
当日は村井嘉浩知事が東北地方整備局を訪れ、河川法に基づく特定河川工事への代行要請書を佐藤克英局長に手渡した。同法に基づく県内河川の応急復旧工事を国が代行するのは、今回が初めて。
村井知事は、丸森町で河川や道路が大きな被害を受けたことに触れ、「大雨が降った時に2次災害・3次災害の危険がある。本来なら県が施工しなければならないが、大変高い技術力を必要としている」と話すとともに、大震災の復興事業箇所も台風被害を受けて改修しなければならないため、「まったく人手も足りない状況」と明かし、直轄権限代行の要請に至ったことを紹介した。
国に対しては、「排水工事や道路の啓開など数えきれないほど支援してもらっている」と感謝した上で、「国が持つ高い技術力で工事を1日でも早く終れるように協力してほしい。一時しのぎの仮の工事だけでなく、本格的な工事をしていただき、また同じような災害があった時に同様の被害が出ないようにしてほしい」と期待した。
佐藤局長は「できるだけただちに(直轄代行の)手続きを進め、本省から確認が取れ次第、現場の方に入って緊急施工できるように段取りしたい」と発言。その後、本省からゴーサインが出た。
国が求められる高い技術力に関して佐藤局長は、台風19号で破堤した国管理河川の吉田川(大郷町)において「機械力を行使したり、直轄の災害復旧に精通した地元の建設企業に活躍してもらうことで早急に工事を進めることができた」と自信をのぞかせ、「複雑なメカニズムで破堤している箇所もあるので、そういったメカニズムや復旧方法に留意しながらできるだけ早く復旧できるように取り組みたい」と意欲を示した。
村井知事から要望が出された本復旧に関しては「まずは緊急復旧をできるだけ速やかに実施する。その後のことについては、技術的助言を含め、よく県の要請を聞いて適切に対応したい」と話すにとどめた。
直轄権限代行を要請したのは、阿武隈川水系の新川、内川、五福谷川における破堤箇所の応急復旧工事。これらの河道には山腹崩壊によって多量の土砂が流入している。現在は応急対応で土のうを積み上げている。
代行工事の内容は、堤体のかさ上げや放流設備の改良などを想定。今後、国が詳細に現地調査して復旧方法を決める。
なお、今回堤防が決壊した県管理河川36カ所のうち、白石市内の斎川や角田市内の半田川など残り16カ所は通常通り県が復旧工事を行う考え。