水産・林業被害25億円 ほとんどが林地の崩壊 中小企業に資金融資(宮城県水林部)

[2019/10/19 宮城版]
 台風19号による水産業、林業の被害を調査している宮城県水産林政部は10月18日、現時点の被害額が25億円余りに上ることを明かした。このうち、植林した山で山腹の崩壊などがあり、林地被害額は20億円を占める。水産施設ではふ化場が浸水するなど、1310万円の被害が出ている。宮城県は同日、施設や設備が被災した中小企業を対象に、災害復旧対策資金の融資を低金利で実施することを決めた。
 公共土木施設や農業施設などの被害額が連日公表される中、これまで調査中として被害額を公表していなかった水産林政部が、10月18日午後1時時点で集計した被害額を公表した。宮城県庁で開かれた9回目の災害対策本部会議で、小林徳光(のりみつ)水産林政部長が報告した。
 同部が所管する水産業、林業の被害額は25億7386万円。このうち、林業被害が25億3548万円と約99%を占めている。最も被害額が大きいのは林地被害の20億0335万円。登米市や大崎市をはじめ、9市町村の39カ所で植林した山が崩壊した。まだ、石巻市や丸森町などで調査の進捗率が低いため、小林部長は「林地被害額は今後、倍以上になるのではないか」と述べた。
 林道は宮城県および市町村管理の183路線でのり崩れや路面洗掘が起き、被害額は5億1936万円に上っている。一部の林道では橋の落橋が確認された。気仙沼市や川崎町では防災林の造成盛土が12カ所で洗掘され、1277万円の被害が出ている。
 水産業の被害額は計3837万円。ふ化場15施設が浸水し、定置網の被害もあって被害額は1310万円と試算された。松島湾を中心にカキ棚など養殖施設102台が被災し、1105万円の被害が出ている。
 これまで報告されていた公共土木施設の被害額も、162億2200万円に増加した。河川の被害額(69億5800万円)を抜いて、最も被害額が大きくなったのは道路被害。県管理の73路線で260カ所が被災、市町村管理の228路線で285カ所が被災し、76億7300万円と試算された。
 前日まで38億円と報告されていた農業関係の被害額は、59億3503万円と一気に20億円余り増加した。色麻町内での頭首工被害や、大崎市内での揚水機場被害などが追加された。
 宮城県は被災した中小企業の資金調達を支援しようと、「災害復旧対策資金」を年1.60%以内の金利で融資することを決めた。対象は施設や設備が被災した中小企業、または取引先の被災で売上高が10%以上減少する中小企業。償還期間は10年以内で、限度額は5000万円となっている。

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