土木施設だけで約85億円 台風19号被害額が拡大 河川被害 327カ所に(宮城県)
[2019/10/17 宮城版]
台風19号による災害について、宮城県土木部は公共土木施設の被害額だけで約85億円に上ると試算した。10月16日に開かれた7回目の災害対策本部会議で、門脇雅之土木部長が報告した。被害額の半数以上を河川堤防の被害が占めている。被災調査が進展し、宮城県および市町村が管理している河川の被災箇所は327カ所に増えた。
宮城県は台風19号の被害について状況を把握するため、村井嘉浩知事を本部長とする災害対策本部の会合を発災以降、連日招集している。日を追うごとに被災状況の詳細が明らかになってきた。10月16日午後1時時点の集計では、死者が13人、行方不明者が7人に増加。住家の床上浸水は1039棟、床下浸水は869棟と、前日までの集計から大幅に増加した。
7回目の会合で、土木部は初めて公共土木施設全体の被害額を明らかにした。宮城県および市町村が管理する道路、河川、下水道などの被害総額を、84億9700万円と試算した。このうち、県の所管分は69億8500万円。今後の調査でさらに被害額は拡大するものと見られる。
被害額の約54%を占めるのが、河川被害の45億8700万円。宮城県管理分は84河川の267カ所が被災し、41億9300万円に上る。このうち、決壊したのは渋井川、照越川、石貝川など18河川の26カ所。
市町村分は38河川の60カ所が被災し、被害額は3億9400万円に上る。大郷町内で決壊した吉田川や、丸森町内で氾濫した阿武隈川は国の管理になるため、この中には含まれていない。
2番目に被害額が大きいのは道路の32億2600万円。宮城県分は54路線の128カ所が被災し、22億8800万円。市町村分は85路線の94カ所が被災し、9億3800万円となっている。
このほか、急傾斜地での土砂崩れなど、砂防被害が13カ所で1億4100万円、市町村管理の下水道(仙台市を除く)は中継ポンプ場が冠水するなどし、1億8000万円の被害が出た。港湾施設では金華山港の防波堤パラペットの転倒や女川港の水門が被災し、2億4200万円の被害。法面が崩れるなどした公園の被害は、宮城県分だけで1億2100万円に上る。
同会議では公共土木施設以外に、農道や水路など農業関係の被害額が17億0082万円、広域水道や流域下水道の被害額が2億6800万円に上ることも報告された。