大田原土木 2ブロック施工へ設計検討 上塩原の地すべり対策
[2019/10/18 栃木版]
県は、那須塩原市上塩原地内の地すべり対策で今年度はD2、E、F、G、H2の5ブロックの地質調査を委託したほか、2020年度の対策工事に向け、H1とIの2ブロックが測量設計、Jブロックは解析業務の発注を検討している。上塩原工区は、平成27年9月関東・東北豪雨で、一級河川赤川右岸の斜面が崩壊、翌年度から3カ年をかけ対策工事を実施した。県大田原土木事務所によると、調査は対策工事が完了した下流側の9ブロックについて滑動状況や斜面のすべり面を解析、測量設計を通じて最適な工種を選定していくとした。
施工ブロックは、上流側からすべり面の状況等を判断し、A、B、C、D1、D2、E、F、G、H1、H2、I、Jの12ブロックに区分。このうち斜面が崩落したAとBブロック、隣接し危険性の高いCブロックの対策工事を完了。
対策工事は、地中の水を抜く横ボーリング工と抜いた水を溜める井戸を設置。斜面には法枠工に加え、受圧板を施工しアンカー工で固定した。また、D1は解析の結果、対策工事の必要が無いと判断している。
地すべり対策は、地質調査を手始めに、滑動状況の変化を確認する施工前のモニタリング、斜面の安全率等を精査する解析を行い、工事のための測量設計、工事の完了後は経年変化の状況を把握するため、モニタリングを実施するとした。
同地の斜面は、崩落したAとBが最も急斜面で、高さが約40~50m。このほかのブロックでも最低20m程度の比高があるとした。1ブロック当たりの斜面の概算面積は約1万5000平方m。
上塩原地区は、27年9月の関東・東北豪雨で、高台の斜面が幅170m、長さ100mにわたり崩落。斜面の上の高台は別荘地として開発され、崩落したAとBブロックは、別荘地を周回する道路も損壊している。加えて、斜面下の赤川を挟んだ対岸には赤川発電所が立地するなど、被災当時は対策工事が急がれたという。
20年度の工事に備え、測量設計の発注を検討しているH1ブロックは解析業務を国土防災技術(東京都港区)が担当。Iブロックは排土工を計画しており、解析業務を行わず測量設計を実施するとしている。今年度地質調査を委託した5ブロックは、福原地質基礎(高根沢町)とアーステック(日光市)が各2ブロック、須田地下工機(小山市)は1ブロックを調査する。