旧国保病院売却延期へ プロポの条件など見直し(松戸市)

[2019/10/11 千葉版]
 松戸市総合医療センター事務局が、9月29日に開いた地元住民に対する説明会の資料が今月10日、明らかになった。先に市は、上本郷地先の旧国保市立病院の跡地を民間事業者に売却して活用を図る方針を示し、事前にサウンディング調査を実施するなどしていたが、説明会を経て以降のスケジュールはいったん白紙とし、今秋にも公告を予定していた売却に向けてのプロポーザルの条件などを含めて、庁内で練り直す考え。調査では当初の要望通り、複合施設の下層部などに、クリニックモールをはじめとする医療機関が入居する案が出されるなどしていた。

 2017年12月の市立総合医療センターの開院に伴い、閉院となった旧国保市立病院の跡地を、民間事業者に売却する方針を示し、今年7月にはサウンディング調査の実施を公告。7月の現地見学会には16者、8月の対話調査には13者が参加したという。

 13者の意見の概要をみると、地元住民が要望している総合病院を建設するという意見もあったものの、クリニックモールを含めて、スーパーマーケットなどの商業施設のほか、上層階をマンションとする複合的な施設の建設を提案する民間事業者が大半を占めた。先の住民に対するアンケートでは、病院・医療系の施設の整備を求める声が37%と最も多く、市もサウンディング調査に当たって要望していた。

 JR北松戸駅の南東約0・8kmに位置している旧国保市立病院は、1967年に完成した1号館をはじめ、閉院以降も多くの建物がそのまま残されている状態となっている。

 跡地についてはこれまでに、市の諮問機関である「市病院運営審議会」の答申を受け、2018年8月に市が土地と建物を一括売却する方針を表明。さらにその後、20年3月までに売却するよう努める旨を示すなどしていた。

 加えて、今年の市議会6月定例会でも、市議の質問に対し市は「当該跡地売却を病院事業の重要課題と位置付け、公平性や透明性、競争性に十分配慮することはもちろん、スピード感を持って取り組む所存」であると答弁するなどしている。

 今夏に実施したサウンディング調査は、売却を検討するに当たり、買い主となる民間事業者が土地を活用する可能性について、先に事業者から広く意見や提案を求め、直接の対話を通じ、売却が実現できるかを把握するのが狙いだった。

 市では法人または法人のグループを対象とし、市場調査を実施したものの、地元から要望が出されていることを受け、一定の医療施設を整備する計画を、今後のプロポーザルによる事業者募集に当たって、条件として盛り込む方針でいた。

 市は、計画する医療施設の規模や購入可能な額、解体などする場合はその時期や以降のスケジュールなどの聞き取りを行った。

 残置している建物は、最も古くて規模の大きい1号館がRC造地下1階地上5階(塔屋2階)建て延べ1万1,479平方m、2号館がRC造地下2階地上6階(塔屋1階)建て延べ7,324平方m(1980年完成)、3号館がRC造地下2階地上4階(塔屋2階)建て延べ7,521平方m(89年完成)のほか、4号館や診療事務室、夜間小児急病センターなどがある。敷地面積は1万3,297平方m。

 1号館は先の耐震診断で「所要の耐震性能を確保していない」とされており、使用するには耐震補強が必要だという。

 敷地のうち第1駐車場(603平方m)と第4駐車場(787平方m)については、8月の入札で法人による落札が決まっている。

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