橋梁補修にECI方式 11日公告/施工者が設計関与(東北整備局で初)
[2019/10/11 宮城版]
東北地方整備局は、石巻市にある国道45号新飯野川橋の補修工事を発注するに当たり、施工者が早い段階で設計に関わる「技術提案・交渉方式」(ECI方式)を初めて採用する。11日付で入札手続きを公告し、まずは技術提案を求めて優先交渉権者を選定し、技術協力業務を委託。この業務で、別途決定している設計業者も交えて設計や施工計画を固めた後は、優先交渉権者と価格交渉し、合意できれば施工契約を結ぶ。
ECIはアーリー・コントラクター・インボルブメントの略で、早期に施工者が関与すること。難易度が比較的高い工事で、公示段階において仕様の確定が困難な場合に採用される。今回は技術協力・施工タイプで橋梁補修を発注し、優先交渉権者の技術を設計に反映した上で施工契約を結ぶ。
新飯野川橋は、橋長441.5m、幅員10.8mの3径間連続非合成鋼床版箱桁(2連)橋。石巻市小船越矢倉~成田小塚裏畑地区で北上川に架かっている。架設工事は横河橋梁製作所(現・横河ブリッジ)と石川島播磨重工(現・IHI)が3径間ずつ施工した。
架設から45年が経過し、2014年度に点検した際は、歩道部のPC版に広範囲の浮きが確認され、下面をたたき落とした結果、PC鋼材が破断していたため、鋼板で応急処置を行った。17年度から下り線側の歩道を対象に床版の取り替え工事を進めている。
下り側線の工事は、小野工業所(福島市)が受注し、年度内に完了予定。当初は昨年度末までの工期だったが、不可視部分の損傷が次々に見つかるなどして、工期が延びている。こうした問題を踏まえ、上り線の工事を発注する際はECI方式を採用し、手戻りなく工事できるようにする。
上り線の工事では、歩道部の床版工や鋼桁工、橋梁付属物工、橋梁補修工、現場塗装工、車道部も含めた舗装工などを施工する。工期は、技術協力業務が20年3月31日まで、建設工事が22年2月28日まで。技術協力業務は500万円程度、建設工事が4億円程度を想定している。
入札の参加資格は、東北整備局から鋼橋上部工事の資格認定を受けていることなど。一次審査で企業と配置技術者の技術力を評価し、上位5者までを選抜して技術提案書を提出してもらう。技術提案の指定テーマは▽技術協力業務の実施▽損傷状況に関する所見と追加調査等の提案▽床版取り替えにおける不確定要素への対応・提案能力──に関する事項。
今後のスケジュールは、23日まで参加申請書を受け付け、11月上旬に一次審査の結果を通知、11月下旬まで技術提案書を受け付け、12月中旬ごろに優先交渉権者の選定通知を行う予定だ。
なお、同橋上り線の補修設計業務は、「宮城北部地区橋梁補修他設計業務」として長大(仙台支社・仙台市若林区)に委託した。履行期間は20年2月28日まで。