延焼防止へ制度改正も 木造密集住宅地で基本方針(船橋市)
[2019/9/12 千葉版]
船橋市都市政策課がまとめた「木造密集住宅地基本方針」が、11日までに明らかになった。10月12日にはこれらが広い範囲で存在している2地区(新高根公民館、飯山満公民館)で市民説明会の開催も予定している。今後は方針の実施に伴い、制度改正なども実施しながら、費用対効果や実施体制などに配慮した上で、必要な取り組みを実施していくとしている。
同市には国が全国で197地区に定めた「地震時等に著しく危険な密集市街地」に該当する地区こそないものの、17~18年度の防災アセスメント調査(地震被害想定)で全壊・焼失棟数1万7,310棟という地震被害が予測されているという。
同方針ではどこまで延焼火災が拡大するかを判断する基準である「延焼危険性」と、建物倒壊などで道路が閉塞するなど避難の困難さを判断する基準である「避難困難性」を指標とし、「延焼危険性が高い市街地」のうち「避難困難性が高い市街地」を「木造密集住宅地」と定義することとしている。
同市の場合、特に新京成線のおおむね前原駅から滝不動駅の西側地区に木造密集住宅地が多く残っており、建築物から1棟でも出火し、そのまま放置した場合に最終的に焼失する可能性がある建築群とした「延焼クラスター」が、4,800~6,000棟規模で存在している。
危険性を軽減させる取り組みとして基本方針では、防災意識の向上と出火延焼対策、避難対策を挙げており、このうち避難対策として延焼を止められず火災が拡大した場合に、延焼遮断帯まで安全に避難できることが重要であり、建物が倒壊しないように耐震補強を進めることや、倒壊しても道路をふさがないようにすることが重要だとした。
そのためのステップとしてまず、全市的に出火・延焼対策を進め、災害に強いまちづくりを進めていくため、まちの抱える危険性や初期消火活動の重要性を周知し、各種補助制度を活用した自主防災組織の結成・活動の促進、耐震改修の促進を図るとともに、地区計画の決定に向けたまちづくり活動を積極的に支援するとした。
このうち地区計画では、建築物の壁面の位置の制限や、壁面後退区域における工作物の設置の制限、垣やさくの構造の制限、道路の地区施設としての確保などを設定していくとした。
このほか助成事業として旧耐震基準の木造住宅の耐震改修の促進や、危険コンクリートブロック塀などの撤去助成事業のほか、公園や道路などへの樹木を整備する際の難燃性の樹木の植樹により防火壁の役割を果たし、延焼防止の効果が期待されるほか、避難場所や避
難路の安全性を向上させるなどとしている。
これらは、3段階に分けて進めるとしており、ステップ3では、延焼遮断帯を形成できる道路の整備や出火・延焼を抑制するための建築物の不燃化促進が、木造密集住宅地の危険性を軽減させる効果は大きい一方、財政的・人的負担も大きく、事業期間が長期に及び早期実施は困難だが、国や県、他市の動向を注視し、国庫補助制度などにより事業実施に向けた課題解消への検討を進めるなどとしている。