本県直撃で大きな爪痕 台風15号 体育館の屋根飛ぶ(県)
[2019/9/09 千葉版]
県が発表した被害状況によると(9日16時00分現在)、人的被害は死者・行方不明者・重傷者はいずれも0人、軽傷者9人(四街道市、印西市、香取市など)となっている。
住家被害は、全壊が市原市で1棟、一部損壊が市原市の35棟を筆頭に99棟(袖ケ浦市12、四街道市11など)。床上浸水が8棟などとなった。
確認されたがけ崩れは0カ所。一方で国道、県道、市町村道が県内合わせて55カ所で被災。今回の台風に伴う火災はなかった。非住家の被害も一部損壊が館山市で1件、市原市で1件確認されている。
交通面では県内を走るJR、私鉄ほぼ全ての路線で朝または午前中の運転を見合わせるなど、大きな影響があり、JR総武本線東千葉駅(千葉市中央区)ではホーム上の屋根が強烈な風で吹き飛ばされて架線に架かり、長期間にわたって運転を見合わせる事態となった。
銚子地方気象台では、県内の海老川、作田川、一宮川、養老川で氾濫危険水位を上回ったことなどから氾濫危険情報を発表(その後解除)。また、全県下に大雨・暴風警報、ほとんどの市町村に土砂災害警戒および洪水警報が発令されるなどした。県と14の市町に災害対策本部が設置され、市原市では避難指示(緊急)、避難勧告も19市町で発令されるなど、県内全域で大きな災害になることに備えた。
千葉市美浜区の稲浜小学校では、1977年に建てられた体育館の屋根が無残に吹き飛ばされた。空が見える、床がびしょ濡れになった体育館の中で、他の教師らと後片付けに追われていた小林さおり校長は、台風の通過が夜であり、9日は休校としていたことで、通学する児童に被害が及ばなかったことに胸をなでおろしていた。
9日は県全域で停電が約63万6500軒に達した。美浜区の高浜5丁目高齢者スポーツ広場では、歩道側にフェンスが崩壊。市の担当職員のほか、地元住民らが応急復旧に当たるなどしていた。千葉都心部でも、至る所でサクラなど折れた街路樹の枝葉や、飛ばされた店舗の看板などが散乱。近年本県では経験のなかった大きな自然災害が、本県でも十分起こることを図らずも見せつけるものとなった。