江合川の分流施設検討 鳴瀬川上流は治水対策(北上川下流 プロポ2件)

[2019/9/6 宮城版]
 国土交通省北上川下流河川事務所は、北上川水系と鳴瀬川水系の2件に分け、河川計画等検討業務を簡易公募型(拡大型)プロポーザルで委託する。北上川水系の業務では、江合川から新江合川へと水流を分派させるための方法や分流施設などを検討する。鳴瀬川水系の業務では、鳴瀬川上流部での治水対策などを考察する。プロポは2件とも26日まで参加申請と技術提案を受け付け、審査を経て委託先を決定する。
 北上川水系の江合川は、旧北上川へと流入しているほか、洪水時は新江合川を経由して鳴瀬川へと流れている。通常時は新江合川の方にあまり流れていないのが現状だ。既存の河川計画には新江合川への分派が必要と盛り込まれているものの、分流施設がないため、施設整備などの検討に着手する。
 分派方法としては、江合川の水位を上げるため、大崎市古川地区の辺りで江合川と新江合川が合流する付近に堰やゲートなどを設けることが想定されている。ただし、最終的に鳴瀬川へと流すためには、洪水時にダムで流量をカットする必要がある。
 鳴瀬川では現在、筒砂子ダムの建設と漆沢ダムの治水専用化に向けた鳴瀬川総合開発事業が進められており、この事業が終わるまでに分流施設の整備が必要になると見ている。
 さらに、鳴瀬川では堤防の断面や高さが計画上の形にまで整備されていない区間もあるため、それらの整備が終わらなければ分流させられない事情もある。鳴瀬川の堤防整備は下流側から随時進めている。
 今回の河川計画等検討業務では、分派方式の検討以外に、旧北上川分流施設の操作方法や、水害リスクと河道分析の評価も検討する。旧北上川分流施設は、北上川と旧北上川の境にあるゲートで、北上川が洪水時に旧北上川へと水を流さないようにする役割を担う。想定洪水時の操作規則はあるが、想定規模を超える洪水時の操作ルールがないため、それらを検討する。
 鳴瀬川水系の河川計画等検討業務は、鳴瀬川上流部の治水対策として、河道が狭くなっている場所の河道掘削や堤防かさ上げなどを検討する。併せて、河川基本技術会議の資料作成や、管理基図の作成、河口部地形変化評価と河道分析評価の検討などを行う。
 検討業務2件の履行期間は2020年10月30日まで。プロポの参加資格は2件とも共通で、東北地方整備局から土木関係建設コンサルタント業務の資格認定を受けている単体企業、または設計JV。
 技術提案を求める評価テーマは、北上川水系が「新江合川分派方式検討における留意点」、鳴瀬川水系が「鳴瀬川上流部治水対策検討における留意点」となっている。

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