千葉都市モノレール 2ルート延伸「取り止め」 費用便益比に課題(千葉市)

[2019/9/5 千葉版]

千葉駅~市役所前駅間を走行する千葉都市モノレール

千葉駅~市役所前駅間を走行する千葉都市モノレール

 千葉市都市局交通政策課が検討していた、千葉都市モノレール2ルートの延伸または導入計画について、計画を廃止または構想断念を決めたことが4日分かった。いずれのルートも、総費用に対する総便益の比率、いわゆる費用便益比(B/C)が、目安となる「1・0」に満たない上、さらにモノレール会社の経営を圧迫することが懸念されることが理由。市では今後、都市計画の見直し手続きや、代替として利便性の改善策などを検討していくという。

 市は2018年度、モノレールの延伸計画を再検証するため、プロポーザルで選定した日本能率協会総合研究所(千葉事務所・千葉市中央区)に業務を委託。これまでに有識者も交えて検討を重ねてきた。

 市が対象としたのは、県庁前駅から市立青葉病院駅(仮称)間までを延伸する「病院ルート」(新設3駅)と、穴川駅からJR稲毛海岸駅間を結ぶことを想定し、構想のみ策定されていた「稲毛ルート」(同6駅新設)の2ルート。

 このうち1号線(千葉みなと駅~県庁前駅)を延伸する病院ルートは02年度、千葉大学病院を経由するルートが提言されたものの、コスト面など課題が多いことから、09年度に凍結。この後市は、17年度の「脱・財政危機」宣言の解除を受けて、あらためて検証することとした。

 検証では、開業想定年次を30年度とした上で、推計人口や物価上昇率などを考慮して費用便益比を試算。この結果、概算整備費196億円と、これに基づく総費用128億円に対し、総便益は111億円で、B/Cが0・87となり、基準の1・0を満たせないことが分かった。

 一方の稲毛ルートは、さまざまなルート案から、JR稲毛駅と京成稲毛駅を経由するうち最短のルート(4・3km)を選出。同様に概算整備費に494億円、総費用に339億円をそれぞれ見込んだものの、総便益は246億円に留まり、B/Cは0・73と算定され、目安を下回った。

 これらに加え、モノレール会社が延伸をした場合に新たな資金需要が必要となり、経営状況に影響が及ぶことが懸念されることもあり、有識者からもこれらの結果から、延伸は妥当ではないという見解を得たという。

 総延長約15・2kmで運行し、懸垂型のモノレールとして世界最長の営業距離を誇るという千葉都市モノレールは、1号線と2号線(千葉駅~千城台駅)が運行し、1日当たりの利用者は約5万3,000人。06年には県と市、モノレール会社で3者協議が行われ、県が事業から撤退した経緯もある。

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