三番瀬、港湾強化に配慮 湾岸道検討会幹事会が初会合(千葉国道事務所)
[2019/9/4 千葉版]
規格の高い新たな道路ネットワーク計画の具体化に向けた検討を進めるため「千葉県湾岸地区道路検討会幹事会」の初会合が3日、千葉市稲毛区の千葉国道事務所で開かれた(写真)。首都圏の経済活動を支える重要拠点があり、今後も港湾機能の強化や物流施設の立地などが見込まれ、交通需要の増大が予想される一方、慢性的な渋滞が発生しているなど、その円滑化が課題となる中、整備に当たっての課題などを抽出、検討会に提案していく。
同幹事会は、検討会が国と本県、千葉市、NEXCO東日本がメンバーであるのに対し、沿線市として想定される船橋市や習志野市、市川市、浦安市、市原市が加わっている。
冒頭にあいさつした、幹事長を務める千葉国道事務所の坂井康一所長は、
検討会が発足した経緯に触れながら、三番瀬再生計画との整合性確保や、千葉港港湾計画と周辺開発計画と環境への配慮、整備効果の把握について、周辺自治体から意見を聞きながら検討していくため、同幹事会が設立されたことを説明した。
坂井所長は、いわゆる「第2東京湾岸道路」(2湾)について、1994年に候補路線となったものの、当時の堂本暁子知事が三番瀬埋立計画を白紙撤回したことに伴い未定のままだったものが、昨今の状況変化に併せて整備検討の必要性が再浮上。「基本的な考え方は従前の計画を踏襲するものではない」とし、あくまで課題の解消に向けた新機軸となる道路ネットワークの構築へ検討を重ねていくことを強調した。
当日の議事は同幹事会の設立についてのほか▽県湾岸地域の交通課題▽周辺環境に配慮すべき検討上の課題▽県湾岸地域のポテンシャルと課題▽今後の進め方──。このうち「今後の進め方」については、次回の幹事会で、ルートの検討に当たって周辺自治体から要望や課題、それぞれが考える整備効果を聞き取った上で整理することを想定。続く3回目の会合は、これらを踏まえたルート案や構造などの考え方の提示や、予想される整備効果などについて示すことで、道路計画の基本方針を確認し、第2回の検討会に進めるとしたが、事務局(千葉国道事務所計画課)側は、今後の幹事会の開催時期も未定であり、その開催回数にもこだわらず、ていねいに検討していく旨を言い添えている。
「規格の高い新たな湾岸地区道路」については、千葉国道事務所で3月に開かれた「県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」でも報告があった。
それによると、2018年6月の外環道高谷JCT~三郷南ICの開通後、湾岸地域の交通量が増大し、渋滞損失時間が増加。開通により周辺の一般道の交通量減少や旅行速度の上昇といった整備効果も見られた一方、外環道から東側の国道357号をはじめとする浦安市~千葉市間の一般道で、旅行速度が低下する区間が発生し、特に船橋市や千葉市美浜区、中央区の広範囲で渋滞損失時間が増加。東京湾アクアラインを除き、国道や高速道路で渋滞が悪化している。
地域内交通の機能分担や道路規格を含めた見直しが必要だとしたのに加えて、千葉港で計画される機能強化とともに、今後相次いで沿道に物流施設が完成・供用予定で、一層の交通需要の増大が見込まれることなどから、船橋市~千葉市を通過する大型車について、本来分担すべき道路規格に見直し・転換することで、一般道の適正利用を図ることが必要だとした。
これらを踏まえ、広範囲で速度低下や渋滞損失が発生していることや、一般道に大型車の通過交通が多く混入していることなどを課題に、今後は既存の国道や高速道路を活用する「機能軸[2]」%2(図参照)%1や、アクアラインを利用する「機能軸[3]」に優先し、国道357号より東京湾側を走る高規格道として「機能軸[1]」の具体的な検討を先行。新たな検討会を設置し、高規格道路ネットワーク計画の具体化に向けて検討を始めることが示されていた。