学校長寿命化に債務43億円 水産研究センターはプラント整備へ調査(県補正予算)
[2019/8/21 千葉版]
森田健作知事は30日に会見し、9月13日に開会予定の県議会9月定例会に提出する補正予算案を明らかにした。一般会計は89億0,400万円を追加し、総額1兆7,699億3,700万円となる。県立学校の長寿命化対策事業に、43億2,000万円の債務負担行為を設定するなど、建設関連を中心に合計111億3,300万円の債務負担行為を設定し、2020年度以降にも事業が継続できる措置を図るのが目立つ。
県は今回の補正案で、交通事故防止のための安全対策や防犯対策の充実、児童虐待に対する初期対応の体制強化に加え、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みに対応するほか、6月補正予算編成後の状況変化に対応するため、必要な事業費を計上するとしている。
学校の長寿命化対策については、20年度の夏休み期間中に工事を集中的に実施できるよう債務負担行為を設定。併せて23年度以降に大規模改修を予定する学校も、その間の保全のための外壁改修などを予定。内訳は大規模改修が5校7棟で8億9,370万円、外壁等改修が16校24棟で34億2,630万円となっている。
学校関連ではまた、過密解消を目的に新設する柏特別支援学校高等部の校舎棟について、22年度から供用するため、20年度の着工に向け19億7,800万円の債務負担行為を設定。整備場所は流山市名都借の流山高等学園第2キャンパス内で、校舎等の構造・規模はRC造3階建て延べ約5,000平方mで計画。新たに120人を受け入れる考えだという。
県有施設の長寿命化ではこのほか、その推進基金に新たに35億円を積み立て、規定分と合わせて35億4,000万円とする。
東武野田線の連続立体交差事業が進む野田市では、街路整備事業に9億6,277万円を増額。踏切の除却を進め、早期の事業完了を目指す。
先に基本計画が示された新県立図書館等複合施設整備事業には、新たに埋蔵文化財調査2,410万円、現況測量調査230万円、樹木調査510万円など委託料計3,150万円を計上。千葉市中央区の県立青葉の森公園内に延べ1・7万平方mの規模での新設を想定する。
並行して、再編整備が計画されている県水産総合研究センターでは、22年度までの着手に先立ち、種苗生産プラントの効率的な整備のため、施設の規模や概算事業費などを調査するため、5,000万円の債務負担行為を設定する。
一方で、九十九里浜沿岸河川での堤防嵩上げなど津波対策については、住民への詳細な説明が必要と判断。20年度まで期間を延伸するため、今年度の事業費を8億4,400万円減額するとともに、10億円の債務負担行為を設定。併せて労務単価などを見直し、総事業費を207億円から約216億円に見直す。
これらのほか建設関連では、今年滋賀県大津市で発生した幼児の交通死亡事故を受け、対策が必要とされた交差点への車止めやガードレールの設置に2億1,100万円、横断歩道の補修5,500万円、信号機の改良2,800万円を、交通安全施設整備事業費に充当。駅周辺の繁華街への防犯カメラ増設(70台)に債務負担行為3億3,100万円、全交番に防犯カメラを設置する緊急整備事業に650万円(債務負担行為1億0,200万円)などが盛り込まれた。
また、設置後20年以上が経過した道路照明灯約3,500基、道路標識約1,500基の緊急点検にはそれぞれ1億0,500万円、1億2,000万円を計上。旧青少年女性会館に移転する中央児童相談所を、一時保護所として暫定活用するため、既存庁舎の修繕に1,000万円、農業用ハウスの補強への補助金3,570万円などを計上。これらにより投資的経費は、約13億6,000万円増加している。
県では併せて、地方財政法の規定に伴い、18年度一般会計決算剰余金の2分の1に当たる40億円を、財政調整基金として積み立てることにしている。