地下1階地上2階建てで 新県立図書館の基本計画(県教委)
[2019/8/28 千葉版]
県教育委員会は27日、「新県立図書館等複合施設基本計画」を明らかにした。先の「県立図書館基本構想」とそのパブリックコメントを踏まえ、既存の県立図書館3館の集約に加え、図書館と県文書館の複合化を含めた「県の新たな知の拠点づくり」の考え方を整理したもの。新施設を千葉市中央区の県立青葉の森公園内に整備するとともに、同じく公園内にある県立中央博物館とともに「文化情報資源の集積と活用を通じて、知の創造と循環を生み出し、光り輝く千葉県の実現に貢献する」ことを基本理念として掲げている。
同計画の原案について県は、6~7月にパブリックコメントを実施。基本構想に基づき、現在の県内3館体制を1館に機能集約するとともに、県文書館など類似施設との複合化を図る。新たな施設の建設場所には、県立青葉の森公園内の「はらっぱ付近」の敷地1万8,500平方mを想定。構造は地下1階地上2階建てで、規模は延べ約1万7,000平方mとし、約15万冊を開架する計画だ。
目指す図書館像として計画では▽県内図書館の中枢としての役割▽子どもの読書活動の推進▽課題解決支援図書館▽県に関する資料や情報の蓄積・継承▽知の創造と循環を生み出す公共の場──という5つの役割を持たせた上で、施設整備の方向性には、3館を1館に集約することと、複合化の可能性を検討するとした。
施設・設備についての基本的な考え方として、新しい県立図書館・県文書館は「文化情報資源を扱う機関との幅広い連携が実現可能な場所」に整備し、県の新たな知の拠点にふさわしい、文化情報資源が集まる象徴的なエリアの形成を目指すとした。
立地についてはまた▽文化情報資源を扱う他の機関および県庁から近隣▽県立図書館による市町村支援という観点から物流面での利便性▽公共交通機関や自家用車などさまざまな手段で来館しやすい▽災害の影響を可能な限り低減できる▽施設整備に当たり用地の確保が容易である──こととした。
県は先に現在地と千葉みなと地区(NHK千葉放送局の隣接地)、県立中央博物館のある青葉の森公園の3カ所を比較検討し、県立青葉の森公園内への新築が妥当だと結論付けるとともに、新施設の建設により、同公園の活性化が期待できることの理由などから、公園内の敷地とした。
今回の計画によると、新施設は利用エリアと保存エリア、業務エリア、その他に区分けし、利用エリアは開架・閲覧、貸出カウンター、大型資料閲覧席、対面朗読室、授乳室、研修室、展示室、貴重資料、公文書、古文書等各閲覧スペースなどを配置。保存エリアには図書館の205万冊と文書館の50万冊を所蔵し(公文書換算)、自動化書庫の導入で延床面積を縮減させる。
このほか館長室や事務室、市町村支援室、会議室などの業務エリア、県史の紹介や広報コーナーのあるエントランスホールや休憩スペースなどを置く方針だ。
基本計画の策定支援業務は図書館総合研究所(東京都文京区)が担当。2018年度には有識者らによる「新たな『知の拠点』づくり有識者検討会議」(主査・竹内比呂也千葉大学文学部教授)を設置し、盛り込む機能など主にソフト面の検討を重ねていた。
1968年の建設で築50年以上が経過するなど老朽化するとともに、増築が重ねられた中央図書館(地下2階地上5階建て延べ6,171平方m)は、先の調査で耐震補強が困難と判定されるとともに、3館の合計延床面積約1万3,000平方mを上回る規模の建物が必要だと見込まれていた。
また、図書館との複合化が示された現在の県文書館は、中央図書館から分離する形で88年に建設。RC造6階建て延べ6,009平方mの構造・規模で、設備の老朽化のほか、書庫の収蔵率が約8割に達するなど、将来的な資料保管スペースの確保が課題になっていたという。