定期点検「二巡目」は1234橋対象 予算・人材が課題(県道路メンテナンス会議)
[2019/8/22 千葉版]
円滑な道路管理の促進と、橋梁・トンネルなど道路構造物などの予防保全・老朽化対策などについて話し合う、2019年度第1回の「県道路メンテナンス会議」(会長:坂井康一千葉国道事務所長)が21日、千葉市中央区の「きぼーる」で開かれた(写真)。議事では今年度第1回の会合ということもあり、前年度の点検結果に加え、今年度の点検予定と取り組みなどが報告されたほか、「一巡目」を終えた上での改定内容についても説明があるなどした。
会の冒頭、あいさつに立った坂井会長は、具体的な数値も示しながら、14年度の着手から5カ年が経過、橋梁などの点検作業が「1巡」したことについて触れ、道路構造物の約1割が早期の対処が必要だとされたものの、実際に対応が始まったのが2割程度にとどまり、予算と人材の不足があることを憂えながら、国の対応として今年4月に「関東道路メンテナンスセンター」が発足したことに言及。「自治体職員の知識や技術の習得・向上へ、同会議も研修などに取り組みたい」とした。
当日示された18年度までの点検結果によると、14~18年度の5カ年で国と高速道路会社、県(公社含む)、市町村が管理する橋梁1万1932橋のうち、ほぼ全てに当たる1万1,828橋の点検が完了。このうち、早期に措置を講じるべき状態とされる「区分III」に判定された橋梁が、9・6%に当たる1,134橋あったことが報告された。
同様にトンネルは462カ所のうち430カ所を点検。区分IIIとなったのが105カ所(24・7%)、また道路附属物等(大型カルバートやシェッド、横断歩道橋など)では1,211カ所のうち1,171カ所を点検、区分IIIが157カ所(13・4%)あることが分かった。
これらの修繕が進まない理由として自治体へのアンケートでは「予算不足」を挙げた自治体が最も多く、次いで「発注側の技術者または技術力不足」を挙げた自治体が目立った。
国では5カ年で点検が一巡し、19年度から二巡目に入ることを受けて今年4月、診断の質の確保と向上を図りながら、道路管理者が様々な合理化のための工夫ができるよういくつかの定期点検の要領を改定。円用機器などを活用して作業を合理化できるようにされるなどした。この例として当日は、君津市が実施したドローンによる橋梁点検の様子が紹介された。
二巡目となる19年度の点検予定をみると、全橋の10・3%に当たる1234橋の点検が予定されているほか、トンネルは56カ所(12・1%)、道路附属物等は203カ所(16・8%)で計画され、修繕工事については橋梁が204橋、トンネルは3カ所、道路附属物等は12カ所で予定されているという。
「道路メンテナンス会議」は、県内の高速道路や国道、県道、市町村道すべての道路管理者が相互に連絡調整し、道路管理を効率的・効果的に進めることを目的に、14年5月に設立された。昨年度までおおむね年3回ずつ、18年度までに計14回の会議を開き、老巧化対策の課題検討や、地方公共団体の取り組みに対する体制支援などを実施。会長は千葉国道事務所長、副会長には県土整備部の課長職2人と千葉市の土木部長が就いている。
本県に限らず高度成長期に集中整備された多くのトンネルや橋梁が残り、道路構造物の補修や更新が必要とされる現況で、国・地方とも厳しい財政状況の中で老朽化対策を的確・効率的に実施する必要がある一方、市町村では技術者の不足も顕著で「点検業務が進まない」「点検結果の妥当性が確認できない」などの課題も顕在化しているという。