建替へ11月にも原案 理想は低層棟だが課題も(県千葉リハビリセンター)
[2019/8/21 千葉版]
第4回となる「県千葉リハビリテーションセンター施設整備検討会議」(議長・渡辺真俊県健康福祉部保健医療担当部長)が20日、千葉市内で開かれた(写真)。当日は事務局から11月に予定されている第5回会議で、策定中の基本計画の原案を示す方針であることなどが説明される一方、現敷地内で建て替えることとした新施設についても、必要な規模(延床面積)を確保しようとする場合、理想は低層棟であるものの、建築面積の確保に課題が多く残ることも説明されるなどした。
2019年度の初弾となった議事に先立ち、渡辺議長があいさつ。今後見込まれる少子高齢化の加速に当たり、新しいセンターが県民のニーズに応えられるよう意見を頂戴したいと委員らに呼び掛けた。
この後事務局からは、同センターの変遷・特徴や概要、同センターを取り巻く環境などのほか、今回の議事の主題として新センター整備に向けた基本的な考え方の整理と、新センターの基本方針として検討すべき事項の整理について説明があった。
基本的な考え方として事務局は、高次脳機能障害、脊髄損傷、重症心身障害など、民間施設では対応が難しい高度な医療的ケアを担う県立施設としての役割をあらためて明確化することや、取り巻く環境への対応に加え、収支を踏まえた安定的でかつ健全なセンターの運営が必要であるなどとした。
基本方針としてはまた▽各ライフステージに沿った包括的な総合リハビリセンター機能の充実▽高度専門的なリハビリ医療の提供▽在宅復帰への支援強化▽障害のある人に対する就労支援・定着支援の機能強化▽障害のある子どもの療育拠点としての機能強化▽災害発生時における支援機能強化▽利用者や職員に配慮した施設整備▽持続可能なセンターの運営──の8項目が挙げられた。
このうち機能強化については、内部にある愛育園や児童発達支援センターに加え、現地での建て替えを決めた一因になっている、隣接する県立こども病院と袖ケ浦特別支援学校との連携が説明された一方、委員から、地理的優位性にこだわるのか、また同じく老朽化が進むこども病院の、現地建て替えの可能性などを質す問いもあった。
当日は委員らから「全ての機能を入れ込もうとすると今の4倍以上の面積が必要」「医療メニューであれもこれもではなく、ここだけは負けないという分野を伸ばすべき」とする意見があった一方、可能な限り機能を取り入れてほしいという声や、県内の施設が連携するモデルを目指すべきとする意見が出るなどした。
基本計画の策定を担当するシステム環境研究所(東京事務所・東京都中央区)は、検討中の建物の形状についても説明。これまでに、既存の公園部分に13階建てで建設予定としていた第1期の「外来診療棟」は、最も広い1フロアの面積でも約2,500平方mとなり、現センターの約4,100平方mを下回る見込みを示した。一方で規模を保った上で低層棟(7階建て)とした場合、建設用地の拡大が必要で、このために現施設の一部を先行解体し、機能の一部縮小が余儀なくされることなど、それぞれの課題を示した。委員らからは障害者施設に高層棟は不向きとしながら、さまざまな視点で検討してほしいと指摘するなどした。
県ではこれまでの検討会議で、現在地での建て替えの場合、1期目で外来診療棟(延べ約2万8,000平方m)を建設・移転し、2期目は現施設を解体、居住棟(6階建て延べ約1万1,000平方m)を建設・移転する工程とし、工期として1期目で33カ月、2期目が24カ月、この後の解体・外構工事を含めて63カ月(5年3カ月)で、渡り廊下などを含め、合計延べ3万9,790平方mを整備する案を示していた。
既存のセンターは複数棟で構成されており、本館・中央棟(RC造4階建て延べ1万4,326平方m)や、居住棟(RC造3階建て延べ9,231平方m)などがあり、合計規模は延べ2万7,240平方m。