土の受入れで県と協定 災害時に情報や重機提供(建設発生土リサイクル協)

[2019/8/10 宮城版]
 県建設発生土リサイクル協同組合(理事長・赤坂泰子ホツマプラント代表取締役)は9日、県土木部と「大規模災害時における建設発生土の受入れに係る情報提供等に関する協定」を締結した。災害時に両者が連携し、復旧現場で搬出・搬入が求められる土の移動や確保をスムーズにすることで、より迅速かつ環境や地域の実情に配慮した復旧活動を可能にする。建設発生土のリサイクルに取り組む団体が個別に県と災害協定を結ぶのは全国でも類を見ないこと。
 協定の内容は、災害復旧工事で発生した建設発生土のプラントでの受け入れや、自走式土質改良機の調達に関する情報提供と、応急対策に必要な大型土のう用土砂の提供など。協定期間は2020年3月31日までで、1年ごとに更新する。
 県によると、特に都市部では災害復旧の工事現場で発生する土を持ち込む場所があまりないため、受け入れ場所の確保に同組合の情報が役立つという。泥に近い土は再利用するためにプラントに運ぶことになるが、自走式土砂改良機が現場に入ればそこで改良できるメリットもある。土のう用の土の提供も受けられる。
 組合としては、地元が必要とするその土地の状態に合った改良土を使って応急復旧などを進めてもらいたいという思いがあり、アドバイザー的な位置付で協定を結ぶことにした。応急復旧で新しい土の確保を急ぐあまり、いたずらに山を削る行為を防ぐためにも、建設発生土の正しい有効活用が求められている。
 9日は県庁で調印式が開かれ、赤坂理事長と、県土木部の門脇雅之部長が協定書を取り交わした。門脇部長は、災害で被災した公共土木施設の早期復旧において「建設発生土の処理が重要な作業の一つになる」と話し、協定締結により「災害復旧や応急対策がより迅速に対応できるものと考える」と喜んだ。
 赤坂理事長は「強度のある土、植生用の土、液状の土など、さまざまな状況に応じた土を提供できる。組合メンバーは県内各地で土を扱っている業者なので、地域の土質に合わせた改良のアドバイスができる」とアピール。
 さらに赤坂理事長は、県が本年度に土砂条例を制定することを歓迎しつつ、「今後も緑豊かな宮城県を次の世代につなげるために、土の正しい有効利用のあり方を進めたい」と決意表明した。
 同組合は、建設発生土の改良業務の共同受注や、建設発生土の有効利用などを目的として2013年6月に設立。メンバーは県内で数十年にわたって土壌改良に取り組んでいる土のプロフェッショナル10社。土のセミナーやデモ施工などを行いながら、土の正しい有効利用を働き掛けている。

協定書を交わす門脇土木部長(左)と赤坂理事長

協定書を交わす門脇土木部長(左)と赤坂理事長

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