調査基準価格を引上げ 工事は予定価格の75~92% 10月から制度改正(宮城県)
[2019/8/3 宮城版]
2019年度最初の宮城県公共工事等入札・契約適正化委員会(会長・玉山直美弁護士)が8月2日、宮城県庁で開かれた。ダンピングの防止に関し、宮城県は10月から調査基準価格の設定範囲を改正する方針を示した。建設工事では予定価格の75~92%の範囲で調査基準価格を設定。建設関連業務のうち測量業務では、予定価格の60~82%の範囲で設定し、調査基準価格を引き上げる。また、建設工事の総合評価では新技術・新工法の活用や有能な技能工の配置を評価することを検討していく。
調査基準価格の設定範囲の拡大は、国土交通省がダンピング対策として4月に改正している。宮城県も国交省の設定範囲に合わせ、10月1日から改正する。
建設工事の場合、純工事費や現場管理費などの係数から算定された予定価格に対し、現行では70~90%の範囲で調査基準価格を設定している。これを75~92%に範囲を変更する方針。これにより、調査基準価格は引き上がる。失格判断基準額の算定方法は現行制度を継続する。
建設関連業務については、測量業務と地質調査業務の調査基準価格の引き上げに取り組む。
測量業務は現行で、予定価格の60~80%の範囲で調査基準価格を設定している。10月からは上限のみ変更し、60~82%の範囲で設定する。地質調査業務は設定範囲を変更せず、現行通り予定価格の3分の2(約66.6%)~85%の範囲で設定。その代わり、予定価格の算定に用いている諸経費の係数を0.45から0.48(0.03ポイント増)に変更する。
入札において調査基準価格を下回った場合は、まず、失格判断基準額を下回ったかどうかを確認する。失格判断基準を下回れば、採算性を考慮しない無理な入札として落札不適当とする。失格判断基準を上回っていれば、履行能力確認調査を行って落札者を決定する。
このほか、建設工事の総合評価で新技術や新工法などを活用した場合、評価することを検討していく。建設業界でも生産性向上に向けて施工の省力化・効率化が取り組まれており、それらを積極的に導入している受注者を評価していく考え。ICT土工活用証明書を活用した施工実績についても、引き続き評価することを検討していく。
生産性の向上に関して宮城県は、4月から総合評価の項目に「ICT施工・3次元化等の活用提案」を加え、評価対象としている。
また、有能な技能工を確保・育成し、処遇を改善していくための方策として「登録基幹技能者配置を促す評価方法」を検討していく考えも示した。中核的な役割を担う技能工を登録基幹技能者とし、国交省のキャリアアップ制度で「レベル4」の資格を持つ登録基幹技能者を配置した場合、加点評価することを検討していく。