ほ場整備へ調査準備 下福田・新田地区の81ha 県に14項目を要望(東松島市)
[2019/7/19 宮城版]
東松島市は18日、県東部地方振興事務所らに農林水産関連の要望活動を行った。要望項目は、ほ場整備事業の推進など14項目。ほ場整備に関しては、下福田・新田地区の計81haについて、計画調査の着手に向け地元と準備を進めている。県東部地方振興事務所は、準備が整い次第、早ければ来年度にも計画調査に乗り出す見通し。
下福田地区は受益面積が50ha、新田地区が31haで、同市西部を流れる鳴瀬川左岸北部に位置している。既存の水田は区画が10~30a未満で、耕作道路が狭い上、用排水路が土水路で非効率な営農環境にあるため、ほ場整備で大区画化を目指す。
市の担当職員は、両地区を一括し、来年度から計画調査に入ると予想している。県東部地方振興事務所の担当職員は、地元との調整が整い次第、調査に入る意向を示した。調査には通常3年程度かかる見込みで、その後の事業採択となる。
ほ場整備事業の推進ではこのほか、深谷(上区)地区、上下堤・川下地区、高松地区の3カ所も要望対象となっている。深谷と上下堤・川下の2地区は、すでに計画調査の段階に移行していることから、事業の早期採択を要望。高松地区は、ほ場整備計画の具体化に向け、指導・助言を求めた。
市は、これらのほ場整備に含める形で、築後61年が経過する上区排水機場の改修と、同じく34年が経過する若針排水機場の品金沢地区を排水受益に含めた改修整備も要望した。
ほ場整備以外では▽主要排水機場と農業用排水路の早期整備▽農業用ため池の修繕・改修に係る事業制度拡充と予算確保▽治山事業の促進▽松くい虫被害対策予算の拡充と確保▽観光振興への支援──などを求めた。
このうち、主要排水機場と農業用排水路の早期整備では、鞍坪排水機場の早期完成や、中江川の早期かさ上げ改修を望んでいる。鞍坪排水機場は県が改築する計画で、2020年度の事業化を予定。中江川は、昨年度に災害復旧が完了した定川の堤防高と約1.6mの高低差が生じているため、同じ高さへのかさ上げを希望している。
18日の要望会は小野市民センターで開かれ、渥美巖市長や高橋宗也県議、市議会議員、市の職員のほか、いしのまき農業協同組合、鳴瀬土地改良区、県漁業協同組合の関係者が出席。県からは東部地方振興事務所と仙台地方振興事務所の職員が駆け付けた。
渥美市長は、東部地方振興事務所の高橋剛彦所長に要望書を手渡した後、市の基幹産業が農業と漁業であることを伝え、課題を共通認識した上で「今できることから力を合わせてやっていきたい」と意気込んだ。
高橋所長は、同市の豊かな自然環境と農林水産業という強みを生かして、「震災復興計画が終わった後にどういった形で事業を進めていくか、そのための基礎作りを(残る復興期間内の)1年8カ月でしていくことが重要」と述べた。
当日は出席者が一緒になって要望箇所を現地視察し、同センターに戻って意見交換した。