「元気な業界」提案 共通の課題出し合う(三県連絡協議会)
[2019/7/18 千葉版]
千葉県建設業協会(畔蒜毅会長)と神奈川県建設業協会(小俣務会長)、埼玉県建設業協会(伊田登喜三郎会長)の、3県の建設業協会で構成する「三県連絡協議会」が17日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれた。各県が抱える課題の解消に向けてそれぞれが持ち寄った提案内容について協議し、今秋に開催予定の全国建設業協会(全建)による関東甲信越ブロック全体による会議の議題案について内容を掘り下げるためのもので、畔蒜会長ら本県協会の役員らも積極的に発言するなどし、存在感を示した。
例年ブロック会議に先立って開かれる同会議に、本県から今年も畔蒜会長のほか、高橋順一氏、小宮山房信氏、内山弘通氏、石井良典氏、金城総円氏の副会長5人、大林正章専務理事の三役が揃って出席した。
議事に先立ち、今回の議長(幹事)を務める埼玉の伊田会長があいさつ。大企業と中小企業、地域間で格差が拡大、働き方改革関連法や品確法の改正などルールが大きく変わる中、災害発生時は真っ先に現地で復旧に当たり安全・安心を守る役割を将来にわたって担うため「建設業界が元気でなければ」とし、これらの課題についての議論は重要だとの考えを示した。
全建からも山崎篤男専務理事があいさつし、国の国土強靭化施策や働き方改革の推進など、建設業が大きな変革期を迎える中、地域建設業がその役に立てるために何ができるかを考えなければと訴えながら、地域ごとのブロック会議の声を国に届けるのが目的だとし、その第一歩として三県の声を1つのモデルとし、これらを水平的に展開させていきたいとした。
議事で伊田会長は、ブロック会議に挙げていく議題の協議に当たり、重複などを整理し、原則各県ごとに1議題が割り振ることを踏まえ、全建側のアドバイスを受けながら「異論がなければ絞らず、全て挙げるスタンス」という取りまとめの基本方針を説明。提案予定内容については、千葉、埼玉、神奈川の順で発表が始まった。
本県は「中・長期計画に基づく公共事業予算の継続的確保」と「地域建設業の受注機会確保について」をテーマに、工事量の偏りによる「地域間格差」や、「企業間格差」により、社会資本の整備や維持管理に加え、災害対応などを担う地域建設業は、依然として厳しい経営環境に置かれていることをアピールすることなどについて、高橋副会長が説明に当たった。
これに対し神奈川、埼玉の両協会からも提案について強く賛同するとされたほか、その理由もつぶさに説明された。全建も、具体的に事業費の入った計画が必要であることを訴えたほうがよいとしたほか、実際に国土強靭化は3カ年・7兆円では到底足らず、その後も継続できるよう国民に理解してもらえる方法が必要だとするアドバイスも出た。
埼玉県からは「働き方改革の推進について」をテーマに▽公共事業予算の継続的な増額確保と地域建設企業の受注機会の確保▽施工時期の平準化▽生産性の向上▽公共工事設計労務単価の引き上げ▽低入札価格調査基準の引き上げと上限の撤廃▽改正品確法の市町村への徹底──について提案することの説明があり、それぞれについて本県の協会からも、これらを大いに支持することが表明されるなどした。
同様に神奈川県の協会も「地域建設業界の再生・発展に向けた重要課題」を提案。公共事業予算の増額確保と地域建設業者向けの工事の増加のほか、施工時期の平準化や働き方改革への対応、市町村への品確法運用指針の徹底を図ることを表明し、本県の協会からもこれらに賛同するとする意見を寄せた。
その一方で、上がり続ける設計労務単価について、どこまで上げるべきかを示す基準が必要だとする全建側の意見に対し、畔蒜会長が作業員の年俸の目標を定めて逆算すべきだとするなど、活発な意見交換もみられた。