病院へのルート12時間で 道路啓開計画を策定(千葉市)
[2019/7/10 千葉版]
千葉市建設局がまとめた、大規模災害発生時の道路啓開計画が明らかになった。災害発生から7日間を、経過時間に応じて「啓開ルート1~5」の5つに分類し、ルートごとの優先順位と目標啓開時間を定めている。目標啓開時間を最短の12時間とした「啓開ルート1」では、中央星久喜町線と千葉大学線、椿森24号線、磯辺真砂線について、千葉大付属病院や市立青葉病院、国立千葉医療センター、市立海浜病院などへの交通を図るとしている。
同計画は、大規模な災害が発生した際に、深刻な道路の交通まひや多くの被災者の発生、物流機能の低下による物資不足などの発生が予測されるため、発災時には負傷者の救助や被災者に救援物資を届ける緊急車両などが通行するルートを早急に確保することが重要なことから、計画を定めることで道路啓開活動の迅速化・円滑化を図り、市民の生命や財産、生活、経済活動への影響を最小限に留めることを目的としている。
優先的に啓開する路線を選定するに当たって市の考え方は、災害時の行動のうち早急に対処すべき救命・救助と受援体制を確立するため、緊急輸送道路と緊急輸送道路から災害拠点病院等を結ぶ路線を対象に、啓開する路線の選定と優先度を設定。選定に当たり、無電柱化路線とその整備対象路線、緊急輸送道路における沿道建築物の耐震化状況、道路車線数、国土交通大臣が指定する「重要物流道路」の指定路線 を考慮した。
具体的に災害時の行動として、救命・救助とその受援体制確立のため、目標啓開時間を12時間とする「啓開ルート1」は、災害拠点病院へのアクセスルートとした。災害拠点病院には▽千葉大学医学部付属病院▽市立青葉病院▽国立病院機構千葉医療センター▽市立海浜病院▽県救急医療センター──が指定されている。
また「啓開ルート2」は、迅速な救援部隊の受け入れとして、高速のインタチェンジから災害拠点病院へのアクセスルートとし、目標啓開時間を36時間に設定。「啓開ルート3」(目標啓開時間48時間)は緊急輸送道路から総合防災拠点(市役所、ポートサイドタワー、県庁)または物資輸送拠点(幕張メッセ、蘇我スポーツ公園、県総合スポーツセンター)へのアクセスルートに設定する。
このほか「啓開ルート4」として救援部隊の活動や救援物資を配送するための幹線道路(その他の緊急輸送道路1次路線)を確保するとともに(目標啓開時間72時間)、その1次路線を相互に連絡する幹線道路を「啓開ルート5」(同7日間)として設定する。
これらの計画について市は、平時から大規模災害の発生を想定した防災訓練を定期的に実施し、現場対応力の向上や連携強化を図るとともに、その実施を通して得られた知見や課題などを踏まえて、計画内容の見直しや充実を図ることで実効性を高め、計画のスパイラルアップを図るとしている。