計画策定へ丹青社選定 加曽利貝塚ガイダンス施設の整備(千葉市)

[2019/7/8 千葉版]
 千葉市教育委員会文化財課は5日、国の特別史跡となった若葉区の加曽利貝塚の新ガイダンス施設の建設・整備に向けた基本計画の策定を委託する公募型プロポーザルで、丹青社(東京都港区)を最優秀提案者に特定した。審査は同社を含めた3者で実施。委託期間は2020年3月19日まで、委託限度額には1,200万円(税込み)をそれぞれ設定していた。

 「特別史跡加曽利貝塚新ガイダンス施設」は、24年度の開館を目指しているもので、今回の計画の対象となる場所は、若葉区小倉町937-7ほかの旧小倉浄化センターとその周辺。

 基本計画では、新施設が目指すべき基本理念や活動方針を掲げた上で、他地域で先行している類似施設が実施している事業内容の事例を踏まえて、具体的な事業活動計画について検討。既設の市立郷土博物館や市埋蔵文化財調査センターなど、遺跡や市内の関連施設との機能の分担・集約について、検討して整理する。

 展示に当たっても、その展開方針やテーマ構成、ゾーン構成、展示または空間演出手法など、動線や配置を含めて検討するとともに、平面図も作成する。

 加えて、既存の加曽利貝塚博物館のデータなどを基に、年間の利用者数や各事業の参加者数を想定。駐車場の規模や必要な諸室の構成・規模などの施設計画を検討するための条件を設定し、環境や景観への配慮など、施設の整備に当たっての基本的な方針・考え方を検討するとともに、建設候補地の条件などを整理し、遺跡との連携や駐車場整備を含めた敷地全体の利用計画を検討する。

 市では今年2月、加曽利貝塚のグランドデザインを策定して公表。貝塚とその周辺地域の一体的に整備・活用するための将来像として、20年度までに既存設備の活用を図る短期的整備と、26年度までに博物館の移転を踏まえた史跡内外の魅力向上を図る中・長期的整備の2部構成となっており、今回の基本計画策定に当たってもこれを踏まえる。

 その第1部となる「特別史跡加曽利貝塚グランドデザイン整備構想」では、貝塚の特性を踏まえて整備対象エリアを設定。加曽利貝塚と縄文の森特別緑地保全地区を「本物を感じる体験型学習観光施設~日本最大級の貝塚で唯一無二の縄文体験~」をコンセプトとする「コアエリア」と、「遠くて近い縄文のまちかそり」の周辺エリアに分類する。

 その上で、わが国文化の象徴たる遺跡として新たな価値を生み出す史跡など「特別史跡としての役割」と、歴史と自然を生かしたレクリエーションを創出する場所である「緑地・公園としての役割」、幅広い調査研究を推進し、縄文文化と貝塚の性格を究明していく拠点としての「博物館としての役割」の3つを、目指すべき将来像とした。

 この実現に向けグランドデザインでは、7ゾーンの特徴に応じた整備方針を設定。このうち「新博物館ゾーン」は、貝塚や縄文時代が学べる新たな博物館を整備するゾーン、「縄文の森ゾーン・水辺公園ゾーン」は縄文の森の緑や水辺を生かした整備により縄文を満喫できるゾーンなどとした。

 第2部の「特別史跡加曽利貝塚史跡整備基本計画」では、全体的な史跡整備の基本方針を示した上で、その中で早期に着手すべき整備事業をグランドデザインの先行整備分とし、史跡整備の基本方針を提示し、短期的整備として実施する内容を個別計画として、本質的価値を構成する要素を適切に保存し、貝塚の特色を顕在化するため「遺構の整備」を進めるとともに、縄文時代の景観と人々の暮らしが体感でき、安全・安心に配慮した整備、さらに遺構などの保存と史跡の景観に配慮しながら、縄文文化の体験や利便性向上に向けた施設の整備を図っていくとした。

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