とちぎ建設技術センター 下水道の広域化・共同化へ 芳賀郡4町で勉強会
[2019/7/4 栃木版]
とちぎ建設技術センターの赤上尚理事長は、本紙のインタビューに答え、今月21日に益子・茂木・市貝・芳賀の芳賀郡4町と下水道事業に関する勉強会を立ち上げ、今後月1回のペースで広域化・共同化に向け、薬剤の共同購入など先進事例の研究等を踏まえ、メリットを検討していく。同センターでは、下水データ管理システムを開発し、今年度から流域下水道で運用を始めた。市町の公共下水道への普及も目指しており、システム運用と合わせ広域化による下水道事業を支援していく。国は2022年度末までに栃木県として広域化・共同化計画の策定を要請している。
=3面に赤上尚理事長インタビュー掲載
同センターの下水データ管理システムは、下水道管理者の事務負担軽減と下水関係情報の利活用の支援を行うことが目的。下水道施設の維持管理中に収集する水処理・汚泥処理に関するデータを入力し、データの保存と受け渡し、抽出・加工などの統計処理、月報・年報などの帳票出力を行うシステムという。
特長としては、▽水処理・汚泥処理のプロセスに沿った測定値を入力▽入力値から計算される計算値の自動計算▽晴天日の判定を自動で行い、閾値とする雨量も任意で設定可能▽入力値・計算値が通常は取り得ない値となった場合に注意を促す機能の付加▽処理場の設備と規模に合わせ必要のない入力表示を省略▽異なる下水道管理者・下水処理場のデータをまとめて取扱い可能▽データをエクセル形式でエクスポートし、システム間で受け渡しや他のソフトでの使用が可能▽月・年度ごとのデータを集積し月報・年報の出力が可能▽四半期ごとの監督機関への報告用・年度ごとの実態調査用のエクセルファイルの出力が可能▽複数の数値データを表示し、相関の確認や処理場間の比較などを行えるグラフ機能-などとしている。
広域化・共同化の検討にあたって県は、下水道事業を実施している24市町等の課題を抽出するため、県内を複数のブロックに分割し検討組織の立ち上げとともに、関係市町にアンケートを実施。加えて、個別のヒアリングを通じて実施予定や興味のある広域化・共同化メニューを確認していく作業を進めている。今年度を目途にブロック単位で、地域における課題や現状の把握・共有に努め、22年度の取りまとめと計画策定につなげていく見通し。
ブロックの分割に当たっては、流域関連、地理的要因、文化圏などを想定している。
国土交通省、総務省、農林水産省、環境省の汚水処理関係4省は18年度、下水道広域化推進総合事業を創設。下水道事業者の県や市町村などの地方公共団体等は、少子高齢化をはじめ人口減少を背景に、使用料収入の減少や職員数減少、施設老朽化に伴う大量更新期を迎えた下水道をはじめとする汚水処理施設を抱え事業運営を行っており、経営環境は厳しさを増している。
これら4省は制度創設に伴い、都道府県において22年度までに「広域化・共同化計画」の策定を要請。合わせて早期に管内全市町村等が参加する検討体制を構築するよう要請している。
経営環境の改善に向けハード面では、複数自治体等の汚水処理施設の統合や共同化により広域的な視点から効率化を図るとしており、主な交付対象事業として▽下水道を含む汚水処理の広域化・共創化にかかる計画策定▽共同水質検査施設▽移動式汚水処理施設▽汚泥運搬施設▽汚泥処理施設▽共同管理施設▽し尿受入施設▽汚水処理施設の統合に必要な管渠などの施設-などを示した。
本県でもソフト対策として、下水道BCPの共有化等共同化の取組を始めている。今後は他県等の先進事例など研修を通じて、広域化・共同化が可能な複数自治体によるブロック単位で具体的な事業を立案していくこととしている。