ICT利活用へ戦略原案 3カ年で最優先事項整理(県)
(2019/6/28 千葉版)
県総合企画部政策企画課は「県民の暮らしを豊かにする県ICT利活用戦略」の原案をまとめた。28日に公示し、7月26日まで意見募集する。建設分野でも、目視によるインフラの老朽化箇所の監視や維持管理に加え、災害時に県民の命と生活を守り、早期に復旧.復興を図るための仕組みと体制づくりが課題になっているとし、これらに対し県がICT活用工事の推進や、防災拠点へのWi-Fi環境の整備の推進などを図っていくなどとし、今後2021年度までの3カ年に、最優先で取り組むことを整理するとしている。
同戦略について県は、19年度を開始年度とするものの、あえて終期の設定はせず、随時更新していく「永遠のβ(ベータ)版」として位置付け。近年の社会情勢の変化や技術革新のスピードが著しい上、戦略策定当初の環境から大きく変化することが予想されるためとしており、その時の情勢を反映させながら適宜変化させていくとし、21年度までに最優先事項をまとめた後は、毎年進ちょく状況を確認していくとしている。
同原案では本県の「弱み」として、スマートフォンの利用率が全国1位(79.2%)であり、AIなどの先端的な研究を進めている拠点や大学、特異技術を持った企業は点在しているものの、製造業の生産工程などでIoTやAIなどの導入は進んでおらず、産学官連携の取り組みは拡大しつつあるものの、県内事業者からはシーズ(大学などが持つ技術で実用化が期待できるもの)と課題をつなぐ場所がないなどの声が出ているとした。
その中で県が管理するインフラ施設の多くが今後、築後50年が経過するものが急激に増加。従来目視で行われていたインフラ老朽箇所の監視や維持管理、大気汚染・水質測定、有害鳥獣のモニタリング・捕獲などをより少ない人数で質の高い作業ができるよう効率化を図る必要があるとともに、災害に強いインフラ整備や耐震化を進めるに当たり、早期の復旧・復興を図る仕組みと体制整備を進める必要があるとしている。
これらの解消を図る取り組みとして同原案では、県土整備部が、国土交通省が推進するi-Constructionのトップランナー施策の一つである「ICTの全面的な活用」(ICT土工、ICT舗装工)などを県発注工事で普及・促進を図り、インフラの適切な管理や環境の適切な保全に関わる個別施策として挙げた。
また、ドローンなどの無人航空機やレーザースキャナなどによる3次元測量、ICT建設機械による施工と3次元出来形管理といった施工管理など、各施工プロセスにおいてICTを活用し、施工の効率化や生産性の向上を図るなどとしている。
防災危機管理部と総合企画部では、災害発生時に被災者の情報収集手段としてWi-Fiが有効であることから、市町村などが設置する避難所などへの整備を促進するため、県や国の補助制度、Wi-Fiの活用事例なども情報提供を行う。
これらのほか同原案では、県津波浸水予測システムの拡張のほか、県防災情報システムの運営などに加え、県や市町村、林業事業体が保有する森林関連情報を「森林クラウド」上で共有し、業務の効率化とともに新進整備の活性化を目指すなどとしている。
このため県は、知識の普及や機会の提供を図るため、実際にICTに触れられる機会の提供や、ICTに関する基本的知識、スキルの向上を図る研修の機会を広く提供していく。