県下水道資源化工場 1系列目を全面更新 デザインビルド 今年度は焼却施設

[2019/6/7 栃木版]
 県は下水道資源化工場のストックマネジメント計画を策定し、今年度は1系列目の焼却施設、2020年度から3カ年をかけ受入・貯留施設と焼却設備等の機械設備、監視制御や負荷設備等の電気設備を合わせ全面更新を行うもの。3カ年継続の工事については債務負担行為を設定する見通し。県下水道室によると、デザインビルド方式を採用し、設計から工事に至る更新・修繕工事をJS日本下水道事業団に委託して実施する見通しを示した。同工場の1系列目の焼却施設は、02年10月の供用開始から約16年半が経過し、老朽化による設備停止の発生頻度も高くなっているという。焼却施設は一般的に供用後20年が耐用限界とされ、修繕費用も増加しているとした。

 長寿命化計画では施設機器等について、▽状態監視保全▽時間計画保全▽事後保全-に区分。状態監視保全は、劣化状況や動作確認を行い、状態に応じて対策。機能を発揮するうえで重要な施設と位置付け。調査により劣化状況の把握が可能とし、1系列目の更新・修繕対象として不具合箇所については22年度までに対策を実施するとした。

 具体的には、躯体、防食塗装、屋根防水(露出部)、脱水汚泥貯留装置、脱水汚泥移送ポンプ、焼却炉、溶融炉、送風機、燃料供給装置、補助燃料装置、熱交換器、排煙処理塔、バグフィルター、灰搬出機、バケットコンベヤ、フライトコンベヤ、スクリューコンベヤ、灰ホッパ、スラグ生成装置、空気圧縮機-など。

 時間計画保全は、施設・設備の特性に応じて、目標の耐用年数などあらかじめ定めた周期で対策を行うとした。電気系統が主体で、機能を発揮するうえで重要な施設としているものの、容易に劣化状況が把握できないため、不具合が顕在化する前に対策を実施するとし、22年度までの対策箇所に位置付けている。

 具体的には、消火災害防止設備、受変電、自家発電、制御電源、負荷設備、計測設備、監視制御設備-など。

 事後保全は、機能上影響が小さい施設とし、故障等の発生後に対策を行うとした。具体的には、土木・建築付帯、内部仕上げ、建築機械、電灯、物上げ設備、煙突、重量計-などとしている。

 下水道資源化工場は、下水道の普及に伴い年々増加する下水汚泥に対応するため、安定的で適正に処理を行うとともに、広域的な汚泥処理体制の確立と下水汚泥を溶融スラグ化し資源として有効利用することなどを目的に、1997年度から国庫補助の流域下水汚泥処理事業を導入して整備、02年10月に供用した。

 その後、下水汚泥の発生量の増加に伴い、08年9月には焼却施設の2系列目が稼働し、処理体制の安定度が増した。現在の施設能力は、流動床式汚泥焼却炉が日量90トン規模2基、旋回流灰溶融炉が乾燥汚泥規模で日量12トン1基、汚泥貯留サイロ450立方m3基、下水汚泥運搬用トラック10トン積11台と4トン積が3台、焼却灰運搬用粉体車13立方mが2台-などとしている。

 整備地は、宇都宮市・下野市・上三川町の3市町にまたがる敷地約6.3ha。焼却・溶融棟(1系列目)と焼却棟(2系列目)、受入貯留棟などで構成する。

 県は公共下水道を管理する宇都宮市など17市町から事務委託を受け、流域と公共下水道の共同施設として、下水道資源化工場の建設や維持管理を行っている。受入れは、共同事業者の単独公共下水道で汚水処理を行っている17市町29処理場と、流域関連公共下水道の10市町(重複市町を含む)6処理場の計35処理場。10年度からは民間活力活用を目的に、施設の運転等維持管理に限って民間企業に業務を委託した。

 建設資材のスラグ化やセメント原料、コンポスト化による肥料等への利用など、当初は大半が焼却灰等による埋立処分を行っていた下水汚泥も、02年度の供用開始後は有効利用率が80%まで上昇。東日本大震災前年の10年度には、96.8%まで向上した。

 11年3月の東日本大震災の影響による福島第1原発事故で、下水汚泥から放射性物質が検出され、有効利用を休止したほか、13年4月からはスラグの製造自体を休止。その結果、有効利用率が18.3%まで落ち込んだ。現在は下水汚泥の放射性物質濃度が低下し、セメント原料として需要が復活、有効利用率が徐々に回復している。

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