10月から工事書類統一 日建連と意見交換で表明(東北整備局や県、仙台市)
県や仙台市は、10月から工事書類の標準化に向けた取り組みを開始する。当面は44種類の工事書類について、東北地方整備局の様式に合わせる。働き方改革や生産性向上に向けた国と地方自治体の連携による取り組みの一環。4日に開かれた日本建設業連合会との意見交換会で明らかにした。
県によると、68種類の工事書類のうち、現場代理人等通知書や工事工程表、施工計画、施工体制台帳など44種類の書類は、一定の移行期間を設けた上で、国の様式と同じものにする。移行期間内は国と県の両方の様式を認める。仙台市も県の土木工事共通仕様書を用いているため、県と歩調を合わせる。
県はすぐに標準化できない残り24種類の書類として、請負代金内訳書や請求書、材料確認書などを挙げており、これらは県独自の書類となるため今後に残すかどうかも含めて標準化を検討する。
4日に開かれた日建連との意見交換会には、東北地方整備局や東北6県、仙台市、東日本高速道路東北支社などから24人が出席。日建連からは竹中康一土木本部副本部長ら36人が顔を揃えた。
冒頭のあいさつで同局の高田昌行局長は「新担い手3法の審議がすでに先月末に衆議院を通過した。成立すればまさに働き方改革、生産性向上、担い手育成・確保の大きな後押しになる」と期待しつつ、意見交換で働き方改革や生産性向上などが「少しでも前に進んだと実感できるような会議になること」を望んだ。
日建連の竹中土木本部副本部長は、日建連が昨年9月に発表した「労務費見積尊重宣言」の主旨を現場レベルにまで浸透させ、建設技能者にまで効果が行き渡るよう尽力することを宣言。処遇改善の原資を生み出すためにも生産性向上が欠かせないとし、実りある意見交換となることを期待した。
意見交換の主要テーマは[1]週休2日の実現に向けた環境整備[2]適切な工期設定と工程管理[3]書類の簡素化やICT活用による業務の効率化[4]生産性向上[5]品確法の適切な運用──の5項目。
週休2日の実現に向けては、日建連が発注者指定型の週休2日工事を増やすよう要望。その際、現行の経費補正ルールでは4週8休以上の達成でなければ全額減額されるため、4週6休や4週7休にも対応した段階的な減額補正の導入を求めた。同局は減額補正について本省に伝えると回答した。
適切な工期設定と工程管理の問題では、日建連が工程や原価などに影響を与える制約条件に関し、条件明示を確実に行うよう要求。同局は特記仕様書や現場説明事項書に発注者が見込む条件を全て記載するルールになっていることを伝え、そのルールが守られるよう指導を徹底すると答えた。
日建連はその上でなお、詳細な条件明示チェックリストや積算工程表を入札公告時に開示するよう改めて求めた。
業務の効率化では、環境省や防衛省、農林水産省など他の省庁の工事書類も統一化に向けて国交省がアクションを起こすことを提案。同局は本省に相談しながら進めたいと回答した。
生産性向上の話題では、日建連がプレキャストコンクリートの導入効果を強くアピールし、採用拡大を促した。これについて高田局長は「個々の現場条件や社会経済情勢の変化などを総合的に勘案した上で、他地整の事例も参考にして多面的に検討したい」と答えた。