土田畑村6棟を改修 2年間で長寿命化 事業費1・6億円(宮城県美里町)

[2019/5/9 宮城版]
 宮城県美里町は老朽化しているでんえん土田畑村(どたばたむら)について、2019年度から建物や外構などの改修事業を本格的に始める方針だ。同地にはログハウス調の建物が6棟あり、その長寿命化に向けて19年度に実施設計を固め、20年度に工事を行う。町は2年間の設計・施工費として約1億6000万円の事業費を試算。設計業務については5月中に委託し、契約する。
 でんえん土田畑村は旧南郷町時代の1994年に「交流の森・交流館」として整備された。自然と触れ合いながらレジャーが楽しめる施設で、建物6棟のうち5棟は宿泊が可能。近くには南郷体育館や南郷運動場、スイミングセンター、南郷球場が隣接しており、スポーツ活動と連携して利用されている。
 竣工から25年が経ち、建物は外壁や屋根、シーリング、ウッドデッキなどが劣化している。東日本大震災の影響から、敷地内の地盤沈下なども確認されている。
 美里町にとってでんえん土田畑村は、交流人口の拡大に資する貴重な観光拠点となっている。さらなる誘客のためにはバリアフリー化を含めたリニューアルが必要と考え、町は昨年、長寿命化計画を策定した。同計画の策定業務は、本年度からでんえん土田畑村の指定管理者となったオリエンタルコンサルタンツ(美里事務所・美里町)が担当した。
 施設内の建物は、センターハウスとなるメイン交流館(木造平屋289.7平方m)をはじめ、会議などが行える研修棟(木造2階建て296.2平方m)、そして木造2階建ての交流館1号棟から4号棟(床面積73.1平方m~147.3平方m)の計6棟。研修棟以外は宿泊できる。
 オリエンタルコンサルタンツがまとめた長寿命化計画では、建物の健全度を100点満点で判定している。外壁や建具の劣化具合、電気・機械設備の老朽化の程度を点数化したところ、研修棟と交流館2号棟および3号棟が26.6点と最も低かった。改修はこの3棟を優先的に進め、残りの3棟も順次行うことになりそうだ。
 長寿命化対策に合わせ、トイレの洋式化や段差の解消、手すりなどの設置といったバリアフリー化も実施する。
 町は老朽化対策費として、工事費に1億4923万1000円、実施設計委託料に1007万6000円の計1億5930万7000円を試算している。実施設計の委託料は本年度予算で同額を確保した。
 6棟のうち、最も改修費がかかりそうなのはメイン交流館で、3544万7000円を試算している。外壁の補修や防虫・防腐剤の塗装、シーリングの打ち替え、金属屋根への更新、空調設備や電気設備、衛生設備の更新が必要になっている。
 健全度が低い建物3棟のうち、床面積が広い研修棟は工事費に3400万9000円を試算している。メイン交流館と同様、外壁の補修や金属屋根への更新、ウッドデッキや階段付近の段差解消、外部階段の塗装などが予定されている。
 町は5月10日に指名競争入札を開札し、実施設計業務を委託する考え。本年度末までに設計や改修する順序などをまとめる。それを経て、2020年度に改修工事を発注する。夏休みなどの繁忙期でも施設の一部は使えるよう、棟ごとに工事を進める方針だ。

ログハウス調の建物が整備されたでんえん土田畑村

ログハウス調の建物が整備されたでんえん土田畑村

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