3年後の稼働へプロポ 高瀬処理場 消化ガスで発電(船橋市)

[2019/5/8 千葉版]
 船橋市下水道施設課は7日、高瀬下水処理場(高瀬町56)で、下水汚泥から発生する消化ガスを使った発電を事業化するため、民間事業者のプロポーザル方式による募集要項や要求水準書などを公表した。汚泥消化施設を新たに建設し、消化ガスの有効利用を図るもので、デザインビルド(DB)方式での整備と、民設民営方式による運営・維持管理を目指す。運営と維持管理の期間は2022年4月から42年3月までの20年間とする考えで、優先交渉権者の選定は今年12月になる見込みだ。takase-gas-generrator

 この事業は、市営の下水処理場に汚泥消化施設を建設し、発生する消化ガスを利活用することで、処理コストの低減や温室効果ガス排出量の削減を図り、下水道経営の安定化と、ひいては地球温暖化対策に寄与するのが目的。民間企業の持つ技術や資金を活用し、施設整備と運営を効率的かつ効果的に実施する。

 事業期間については、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用するため、国の事業計画認定を21年3月までに受ける一方、事業者の提案で設計・建設期間を短縮し、することが可能だとした。

 事業は大きく2つに分け、下水汚泥の持つエネルギーを有効利用するため、消化ガスを発生させるとともに、汚泥を安定的に処理するため、汚泥消化施設を設計・建設する事業となる、DB方式による「汚泥処理施設整備事業」と、下水処理場で発生する消化ガスを事業者に売却し、FITを活用した発電施設の事業計画認定の取得や設計・建設、運営・維持管理を実施する、民設民営による「消化ガス利活用事業」とで構成する。

 市は、DB方式で整備する汚泥消化施設は建設後、所有権を市に移し、そのまま運営・管理。市は汚泥消化施設の設計・建設に伴う全体の限度額として、37億5,000万円(税込み)を設定した。年度ごとの提案額は19年度が4,070万円、20年度が16億7,300万円、21年度が20億2,630万円とそれぞれなっている(いずれも税込み)。

 単体企業または企業グループによる応募者の参加資格要件として募集要項では、施設の設計・建設者として、市の入札参加者名簿で機械器具設置工事の総合点数が1,100点以上であるとともに、過去15年以内に完成・引き渡しが済んだ、国や地方公共団体、特殊法人などが発注した、1日最大8万立方mの計画処理量を誇る終末処理場での汚泥消化設備を元請けした実績があることなどと定めている。

 また、消化ガス利活用事業の運営者は、終末処理場での下水汚泥などを含むバイオマス由来のメタン発酵ガスを利用した、発電設備工事(単一工事で発電能力の合計規模が100㎾以上)を元請けして施工した実績を求めるなどしている。これらの企業または企業グループは、優先交渉権者に選定後に特別目的会社(SPC)を同市内に設立し、2020年早々にも市と基本協定を結ぶことになっている。

 高瀬下水処理場の敷地面積は約21万1,650平方mで、このうち今回の事業用地として市が想定しているのは約4,700平方m。1999年に供用を開始した同処理場の処理方式は、嫌気無酸素好気法(凝集剤併用)で、浄化した水は東京湾に放流している。市は消化ガスの提供可能量として年間206万9,000N立方mを想定しているという。

 同市では下水処理場で発生する消化ガスを使った発電の事業化について早くから着手しており、先行して西浦下水処理場(西浦1-4-1)では、16年度に事業者として西原環境(東京都港区)を選定し、発生する消化ガスの全量を売却した上で、FITにより発電施設の設備認定の取得や設計・建設、運営・維持管理を委託した。

 発電事業を安定して運営するため、同社は老朽化した既存設備の更新に当たり、設計・建設を担当。更新された消化設備は竣工後に市に引き渡す一方で、市は同処理場で発生した消化ガスの供給を受け、それを基に発電し、外部に売電できる権利を与えた。同事業では今年4月から39年3月までの20年間をめどに、施設の運営・維持管理を委託している。

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